月間36万PVの地域密着型メディアの立ち上げ人に聞いた!ネットを越えて目指す世界

2023年8月22日

コロナ禍を経て、テレワークやリモートワークが多くなった今、郊外へ移住する人が増えています。中でも、海や山など自然が豊かで、都心へのアクセスも良い神奈川県湘南エリアは住みたい街ランキングでも上位になる憧れの街。

そんな湘南エリアに特化した地域密着型のWebメディアが「JIMOHACK湘南」です。地域特化のメディアにて月間36万ものPVを獲得し、JIMOHACK湘南の読者を集めたリアルイベントも開催しています。

立ち上げたのは、4年前に湘南に移住したコウさん。現在は株式会社自給人を経営するほか、コウさん自身もラジオ鎌倉FMでレギュラー出演するなど、活躍の幅は拡大中。コウさんがどのようにして地域密着型のWebメディアを運営しているのか、秘訣を聞きました。

地元民の温かさに救われた。「湘南」にある本来の魅力を伝えるために

――「JIMOHACK湘南」とは、どのようなメディアか教えてください。

JIMOHACK湘南は神奈川県湘南エリアの観光、暮らし、グルメなど湘南エリアにまつわるあらゆる情報を発信している地域密着型のWebメディアです。
最近では、不動産情報や求人情報、移住者に向けた湘南生活のメリット・デメリットも掲載しているので、湘南エリアの魅力を広く発信していますね。

有難いことに2019年12月の立ち上げから5カ月で月間14万PVを突破し、現在は月間36万PVを獲得するほどたくさんの方に読んでいただけるようになりました。メディア立ち上げからすぐに開設したInstagramも、2万人以上の方にフォローいただいています。

―― すごい成長スピードですね。4年前に移住してから立ち上げたとのことですが、そもそもどうして立ち上げようと思ったのでしょうか?

2019年12月に移住してきて、湘南に住む地元民の温かさに触れたことが大きな理由です。移住した時のぼくは、プライベートで離婚したり、ケガを負ったりしたこともあって、心身ともにとても弱っていました。誰かを頼りたい、でも誰も頼れる人がいない、とそんな状況でしたね。

そんな状態でふらりと入ったご飯屋さんの店主が、すごく気さくに話しかけてくれたこと、その後、茅ヶ崎のコワーキングスペース「チガラボ」で仕事をし始めると、熱い想いを持った仕事仲間もたくさんできました。そういった人の温かさがとてもうれしくて。

縁もゆかりもなかった湘南に自分の居場所ができたと感じ、「見ず知らずのぼくを温かく受け入れてくれた湘南エリアの魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい!」、そんな想いが湧いて「JIMOHACK湘南」を立ち上げました。

―― 湘南の「人」の温かさがきっかけだったのですね。

湘南には、多くの人が知っている有名な観光スポットやお店がありますが、それ以外にも魅力的な人やお店がたくさんあるんです。

それらを湘南に住む地元民をはじめ、訪れる観光客や新しく移住してきた人へ伝えることで、多くの人に「湘南」というネームバリューだけでなく、ここにある本来の魅力を伝えていきたいと思っています。

地域密着型のメディアを盛り上げるためにしていること

―― コウさんは、これまでWebメディアを立ち上げた経験などはあるのでしょうか?

JIMOHACK湘南のような地域密着型のWebサイトの立ち上げは初めてです。

ですが、これまでに自分でWebサイトを作ってアフィリエイトをしていたので、その経験は活きていますね。アフィリエイトをしていた時は、月間400万アクセスを獲得し、月100万円ぐらい稼いでいたと思います。

検索エンジンのアルゴリズムを考えたり、PV数などの数字を分析したり、Webサイトを育てることが好きなんです。

―― 月間400万アクセスで月100万売り上げ……その経験が今のJIMOHACK湘南に生かされていると。では、Instagramはどのようにフォロワーを伸ばしたのでしょうか?

Instagramに関しては、コロナ禍というタイミングがよかったのだと思います。

―― タイミングがよかった?

はい。コロナが流行した初期のころ、外出制限によって街やお店から人がいなくなり、特に飲食店を中心に打撃があったことを覚えていますか?

ちょうど社会的にも「飲食店を応援しよう!」という流れがあったので、JIMOHACK湘南でも積極的にテイクアウトメニューを紹介したり、飲食店の公式アカウントと一緒になってお店を取り上げたりしました。そのおかげで、飲食店経由でJIMOHACK湘南を知ってくださる方が増えたんです。

Instagramには飲食店情報がぎっしり

今はコロナが明けてイベントが増えてきたので、そういった情報のまとめを発信するなど、その時々に合わせて読者が知りたいと思う情報を発信しています。

さらに今は、“みんなで作っている”感覚を持っていただくことも意識しています。

これまでメディアもInstagramも、ぼく一人で運営していましたが、それだと集められる情報には限界があって、ぼくが知らないことは発信できないんです。

そこで、JIMOHACK湘南は見てくださる方の大半が湘南エリアに住んでいるので、皆さんの力をお借りしようと思いつきました。

―― 具体的にはどのようなことをしているのでしょうか?

たとえば、湘南エリアでおすすめのパン屋さんランキングは、Instagramのストーリーを使ってアンケートをとり、その結果を投稿にして発信する、といった感じですね。

ぼくが行ったことのないお店に関しては、フォロワーさんと連絡を取り合い、お写真をいただいて掲載することもあります。

JIMOHACK湘南としては地元民がおすすめするリアルなランキングを発信できますし、知らなかった情報を皆さんからいただくことで、ぼくも湘南の新たな魅力を知るチャンスにもなっています。

このように地元に住んでいるからこその知見をJIMOHACK湘南に分けてもらい、普段は見ているだけのメディアの作り手になってもらう。JIMOHACK湘南というメディアをきっかけにぼくが情報発信の旗振り役を担うことで、みんなで湘南を盛り上げるチームのようなものができたらいいなと考えています。

インターネット上だけで終わらない、手触りのあるつながりを作る

―― JIMOHACK湘南にはたくさんの記事がありますが、よく見られている記事などはありますか?

お店の開店・閉店の情報は人気ですね。やっぱりみなさん、地元にどんなお店が新しくできるのか、好きなお店がなくなってしまわないかを気にされているのかもしれません。それから、最近だとイベント情報はよく見られていますね。

―― 湘南の最新情報をキャッチアップして発信されているのですね。

情報を発信する時は、読者が今何を知りたいのか、そしてJIMOHACK湘南にできることは何なのかを考え抜くようにしています。

立ち上げ当初、JIMOHACK湘南はグルメ情報をメインに発信していました。それはぼく自身、湘南エリアに特化した良質なグルメ情報の発信が少ないと感じていたから。ですが今は、Instagramを見ても多くの人がグルメ情報の発信をしていますよね。

同じテーマの発信者が多いというのは、裏を返せば競合が多いということでもあります。同じ情報ばかりだと埋もれてしまうので、ほかに何か皆さんが必要としているトピックはないかな、と考えるわけです。外出意欲の高まった今だからこそ、読者が欲している情報は何かと考え、イベント情報や暮らし情報等を提供するようになりました。

―― JIMOHACK湘南だからできること、というのがリアルイベントの開催にもつながっているのでしょうか。

まさにその通りです。メディアはインターネット上で完結してしまうことが多いです。しかし、地域密着型メディアとして地域の魅力がたくさん集まっていて、読者に地元民が多いJIMOHACK湘南だからできることを考えた時に、手触りのある繋がりを作れたらと思ったんです。

今までに新年会の開催、地元の酒造とコラボした「湘南ビール会」の開催、朝活コミュニティなど、さまざまなイベントをしてきました。

2023年3月には、熊澤酒造さんとコラボした「新作湘南ビールを嗜む会」を開催

―― メディアの枠に収まらない活動ですね。

今までは、JIMOHACK湘南から読者へと一方向でしかやり取りをできなかったのですが、これからはメディアを架け橋に読者同士も繋げていきたいと思っています。

ここで新しい出会いがあったり、そこからまた地元を盛り上げるプロジェクトが生まれたりしたら面白いだろうなとワクワクしています。

憧れられる「住みたい街」から、「住み続けたい街」を目指して

―― メディア運営について、コウさんが大切にしていることはどのようなことでしょうか。

そうですね……客観的な視点を持ち続けること、ですかね。

湘南エリアにたくさんの魅力があることは間違いないのですが、情報を発信するぼく自身が夢中になって視野が狭くなってしまうと、盲目的な発信になってしまう可能性もあります。

なので、時々湘南から出て、外から「この街の魅力ってなんだっけ?」を見つめ直すようにしています。

夢中になればなるほど視野が狭くなり、自分が発信したい魅力と、読者が知りたい魅力に溝ができてしまうこともあるので、一度深呼吸して、外からの目線で湘南を見つめることを大切にしていますね。

―― 好きだからこそ、主観的になりすぎないということですね。最後に、これからの目標を教えてください。

今まさに奮闘中ではありますが、メディアを軸に湘南が「住み続けたい街」になる手伝いをしていきたいと思っています。

湘南に移住してきて4年が経ち、ぼくは湘南のことが大好きになりました。ただ、実際に住んでみたことで、湘南は多くの人が憧れる「住みたい街」ではあるけれど、新しく移住してきた人にとってはまだまだ「住み続けたい街」になりきっていないのだと気がつきました。

2023年2月に行われた「JIMOHACK湘南新年会」の様子

せっかく移住してきても、友達ができなかったり、地元の方が集うお店にはなかなか入りにくかったりして、結局湘南を楽しめずに東京や地元に帰ってしまうという話も聞いていて、もどかしい気持ちがありました。

そこで、新たに湘南移住・住み替え支援サービス『ジモハック不動産』を始めました。ジモハック不動産では、僕がお部屋の提案や内見までをサポートいたします。

さらに、ジモハック不動産でお部屋を決めた暁には、湘南ビールがお家に届いたり、湘南のさまざまなお店で特典が受けられたりと、引越した後に湘南を楽しめるような特典を用意しました。

JIMOHACK湘南やジモハック不動産などを通して、湘南の魅力を発信し、人と人、人とお店の繋がりを作り、湘南エリアが日本一住み続けたい街になったらいいなと思っています。

(文:田邉なつほ)

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ライター田邉なつほ
新卒で建築業界の営業に従事し、ライターに転身。介護・福祉業界の採用支援をサポートするスタートアップ企業で業務委託ライターを勤め、編集プロダクションで編集者も経験。現在は取材記事の執筆、メディア運営、コンテンツ制作に携わる。

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