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トレーラーハウスで自由にはたらくって、いくらで実現できる?
「もっと自由な場所ではたらきたい」──そんなことを思ったことがある人も少なくないのではないでしょうか。そんな要望を叶えてくれるように、時には森の中で、時には海の目の前で。そんな自由なはたらき方を実現してくれるアイテムがあります。
YADOKARIが企画製造・販売を行うトレーラーハウス「HAWK(ホーク)」は、自動車で牽引できる移動可能なオフィス。駐車するスペースさえあれば、日本全国どこでも仕事をすることができます。
もし、このHAWKをオフィスに仕事をしたら、いくらの費用がかかるのでしょうか。YADOKARIの遠藤美智子さんに相談してみました。
部屋ごと好きな場所に移動できるトレーラーハウス
──トレーラーハウス「HAWK」について教えてください。
「HAWK」は車輪のついて土台の上に13.5㎡の木造のオフィスが載っているトレーラーハウスです。
トレーラーハウスとは、車でけん引できる建物のようなものです。タイヤがついていて、牽引することで移動できるため、区分としては建物ではなく車両になります。
当然のことながら、建築物だと一度建てた場所から動かすことはできませんよね。でも、「HAWK」のようなトレーラーハウスなら、自宅の庭に置いて書斎にすることもできますし、自治体への確認は必要ですが法律上建物を建てられない海の近くや森の中に移動して置くこともできます。
──まさに、好きなところに移動できるというわけですね。
そうなんです。最近キャンプが流行っていて、日常から離れた場所でゆったり過ごすのを楽しむ人が増えていますよね。でも、キャンプ場で仕事をするには、はたらく環境が整っていないことも少なくないと思います。
その点、「HAWK」だったらコンセント付のデスクやエアコンがついているので、しっかりと仕事に集中できます。それなのに、キャンプ場のような場所に設置すれば、窓の外には大自然が広がっている。
日常と非日常がつながって、おいしいとこ取りをできるのが「HAWK」の魅力です。
企業のリモートオフィスやギャラリーとして活用
──中も広いですし、秘密基地感があって新鮮な気持ちで仕事ができそうですね。そもそもどういう経緯で「HAWK」が生まれたのでしょうか?
当社では2011年からトレーラーハウスを含むさまざまなタイニーハウス(10㎡から20㎡ほどの「とても小さな家」のこと)を造ってきたのですが、もっと時間や場所にとらわれない自由なはたらき方ができるスタイルを提案したいという思いからできたのが「HAWK」です。
開発のきっかけは、とある自治体の駅前の遊休地にワーケーション施設を造りたいというご相談をいただいたことでした。駅前という場所柄、新しい建物を造るのは難しく、工事が長期間かかってしまうのも避けたいという意向があったため、建設会社ではなくトレーラーハウスを扱っているYADOKARIにお声がけいただいたのです。
それで生まれたのが、「HAWK」の最初のモデルでした。トレーラーハウスならその場に持って行けばすぐに利用してもらえますし、ワーケーション施設をやめたければすぐ移動させて、別のことにチャレンジすることもできます。
——利用しているのは自治体や企業が多いのですか?
そうですね。主なユースケースとして想定しているのは自治体や企業ですね。
例えば、いつものオフィスとは離れた場所でリモートオフィスとして使うなど、企業の福利厚生の1つとして利用してもらうことを想定しています。
ほかには、ギャラリーやイベント出展ブースとしての活用事例もあります。例えば、マンションのモデルルーム敷地内に弊社のトレーラーハウスを置いて、お客様との商談スペースとして活用したケースもありますよ。
モデルルームの営業期間が終了したら他の場所に移動してまた使えるので、企業にとっては取り壊しと建築の負担が減りますし、来場するお客様にとっても新鮮な印象を持ってもらえます。
このモデルルームでは、トレーラーハウスを開放して地域の方にも気軽に来てもらえるマルシェのようなイベントも開催しました。地域の方にもマンションに対して好感を持ってもらうためのブランド戦略としても、効果的だったと思います。
——おもしろい取り組みですね! そうなると、個人で「HAWK」を使うというのは難しいのでしょうか?
個人の方も大歓迎ですよ。
当社では、「世界を変える、暮らしを創る」というビジョンを掲げており、場所や時間、お金に縛られずに自分らしく生きることを後押ししていきたいという考えがあります。
ですから、「HAWK」も、最終的には個人のお客様が暮らしや仕事を楽しむ1つの方法として気軽に検討してもらえる存在にしていきたいと思っています。
庭に置いて書斎として使ったり、家族や友人で集まる秘密基地にしたり。あるいは、建物を建てられない土地をお持ちの方であれば、そこに「HAWK」を置いて別荘のように有効利用することもできます。
実は、建物を建てられない土地の価格って安いんです。しかも、住宅地から離れていて自然に囲まれているなど、ロケーションがいい場所も意外と多い。「HAWK」などのトレーラーハウスをご利用いただくことで、土地に新たな価値を生むことができます。
気になる、「HAWK」のお値段は……?
──お話を伺っていると、どんどんほしくなってきました。肝心のお見積が気になるのですが……。やっぱり結構なお値段なのでしょうか?
「HAWK」の購入費用には大きく分けて、車両本体の費用と手続き関連の費用があります。
まず、車両本体の費用は、土台となるトレーラー部分、その上に載る木造空間部分の費用、エアコンの設置費用などを含んでおり、680万円〜となっています(2023年5月時点の価格)。
──「HAWK」の車両はどのように製作されているのでしょうか?
「HAWK」の車両は大きく2つに分けることができます。車輪の付いた基礎の部分となる車台とその上に載せる小屋。まずはベースの車台を完成させて、その上に大工さんがトンカンと小屋を建てていきます。柱を立てて、壁には断熱材を入れて、屋根をつけ、内装を仕上げてと、そこは住居と同じですよね。
──680万円と言えば、ちょっとした高級車を購入するくらいの価格。車台の上にイチから大工さんが家を建てていると考えれば高くはないのかも……。その他の「車両取得時法定費用」などの項目はどういった費用でしょうか。
忘れてはいけないのは、「HAWK」は車両だということです。建築物ではなくてあくまで車両だということを証明しなくてはならないため、車検に通さなくてはいけません。
だから、YADOKARIのトレーラーハウスにはすべてナンバープレートが付いていますし、ウインカーやブレーキも付いています。エンジンは付いていないけれど、牽引されて実際に公道を走って設置場所まで行くことになりますから。
──なるほど。車を購入する時と同じ手続きが必要になるわけですね。
そうですね。車両取得時法定費用ほほか、ナンバー封印なども必要になってきます。ただ代わりに、建築確認審査や住宅の場合に発生する固定資産税などは発生しません。
これらの費用をすべてあわせると、702万円〜が「HAWK」を購入していただく費用となります。
購入ではなく、レンタルするというプランもあるので、気になる方はぜひ一度ご相談ください!
──カスタマイズをお願いすることはできるのでしょうか?
当社では車台から国内で製造しています。「HAWK」の場合はその土台の上に、お客様の要望にあわせて大工さんに空間を造作してもらいます。
そのため、窓のデザインや空間内部のインテリアもこだわることができます。公道を走ることのできる車両のサイズとして規定されているサイズにおさまっていれば、屋根や外壁を凝ったデザインにすることも可能です。
その場合はカスタマイズの分の費用が上乗せされていくことになります。
──例えば、「HAWK」をまた別の場所に移動させたいとなった場合、費用はどのくらいかかるのでしょうか?
牽引費用は距離によって費用が変わってきます。移動は全国どこでも可能です。
──ご依頼してから完成するまでにはどのくらいの期間かかりますか?
「HAWK」の場合はトレーラーの土台部分を造るのに約2カ月、上に乗っている小屋を造るのに約2カ月くらいかかるので、約4カ月みていただければと。
自由な暮らし・はたらき方ができることを伝えていきたい
──お値段的に今すぐは買えないですが、いつか「HAWK」のようなトレーラーハウスを活用して、場所に縛られない暮らしやはたらき方をしてみたい気持ちになりました。
YADOKARIとしては、暮らす場所やはたらく場所が必ずしも家やオフィスだけとは限らないし、もっと自由なスタイルを選択することもできるということを、まずはみなさんに知っていただきたいと考えています。
今までの住まいの固定観念から離れれば、いくらでも自由に、クリエイティブに暮らすことができる。たくさんの方が好きな場所で、理想の暮らしを楽しめるようなプロダクトを、今後も開発していきたいですね。
──ちなみに、遠藤さんご自身はなぜYADOKARIではたらこうと思ったのですか?
私はもともとハウスメーカーで営業を9年ほどしていました。当時は北欧系の住宅を担当していたこともあって北欧にハマってしまって。退職して、デンマークとスウェーデンに1年ほど住んでいました。
そのときに、北欧のタイニーハウスの文化を知って、おもしろいなと思ったんです。日本ではお客さまに35年ローンを組んで住宅を購入していただく仕事をしていたのですが、次第に「もっと住まいの選択肢があってもいいのにな」と思うようになって。
タイニーハウスならキャッシュで買える可能性もありますし、ローンに縛られてずっと同じ場所に住み続けるのではなく、世界の各地にタイニーハウスをいくつも持つような暮らし方もできるかもしれない。
帰国して、経済的にも物理的にも自由になるタイニーハウスの暮らしをいつかしたいと考えていたときに、YADOKARIのことを知りました。それで、最初は「ここではたらけばタイニーハウスのことをもっと知れるかも」と思って2年前に入社しました。
──それで、今は「HAWK」の営業を担当されているんですね。
実は入社したばかりのころは、オフィスに置くフォンブースの営業を担当することになって、「タイニーハウスの営業じゃないの?」と驚きましたけど。1年経って、希望していたタイニーハウスの営業担当になりました。
私自身、今は古民家を借りて暮らしていて、タイニーハウスをまだ購入できていないのですが、「いつかは!」と思っています。
──YADOKARIではたらく方は、やはりタイニーハウスやトレーラーハウス好きが多いんですか?
そうですね。実際にトレーラーハウスを自分で造って住んでいる社員もいます。彼女はトレーラーの土台を買って、自分でお部屋もDIYしているんです。
YADOKARIでは時間や場所にとらわれない生き方を発信しているのですが、それを社員一人ひとりが体現している感じですね。
はたらき方も自由です。基本的にはリモートワークでみんな好きな場所で仕事をしています。オフィスに出社するのは週に1回。今は別な場所でミーティングをするようになりましたが、本社となっている場所はトレーラーハウスを併設したカフェです。
──週1で出社するオフィスがトレーラーハウスなんて、毎日の仕事がワクワクしそうですね。
住む場所も、はたらく場所も、「こうしなければいけない」といった決まりは本来はないはず。自由に選ぼうと思ったらもっと選択肢はあると思うんです。まずは、いろいろな可能性があることを知ってもらえたらうれしいです。
(文:村上佳代 写真:小池大介)
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