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地下アイドルからテレ朝Pに。あのちゃんを発掘した新時代のテレビ屋・小山テリハとは。

はたらく情報メディア『スタジオパーソル』が運営するYouTubeでは、仕事終わりの晩酌まで1日密着し、はたらく本音を深堀りする番組をお届けしています。
今回密着したのは、テレビ朝日でバラエティ番組のプロデューサーとして活躍する小山テリハさん。『あのちゃんねる』『ホリケンのみんなともだち』『サクラミーツ』などの番組を手がけ、来年(2026年)で入社10年目を迎えようとしています。学生時代の地下アイドル活動から「才能ある人にスポットライトを当てたい」という想いを胸に、自分の「好き」を信じて企画を生み出し続ける小山さんのはたらく原動力とは——。
※本記事はYouTube『スタジオパーソル』の動画を一部抜粋・編集してお届けします
「仕事できなさすぎてやばい」テレビ番組制作の裏側とは?

華やかなテレビの世界の裏側は意外にも地味な作業の連続だと、バラエティ番組のプロデューサーである小山さんは笑います。SNSの投稿文を考え、テロップの漢字をチェックし、視聴数データを分析する。ほとんどの時間をデスクワークに費やしているのです。
「ずっとスマホをいじりながら、細かい事務作業をしています。傍から見ると『この人たち何をしているんだろう』と思われるでしょうね(笑)。ロケがある日は立ちっぱなしで大変ですが、普段は地味な仕事の連続なんですよ」
そんな小山さんも、2016年、テレビ朝日に入社した当初は業界の常識がわからず、戸惑いの連続でした。

「最初はびっくりするほど仕事ができなくて、本当に『やばいな』と思っていました。ロケ撮影の現場で食べるカレーを注文する時も、深く考えずに『中辛』を頼んだら、『甘口に決まってるだろ!』とブチギレられて……。みんなの好みを確認しないといけなかったんだと、後から気付きました」
テレビ業界の基本的なことも分からないまま飛び込んだと言う小山さん。番組制作の現場を支えるアシスタントディレクター(AD)としてはたらき始めましたが、そもそもADの役割すら理解できておらず――。
「『ディレクターになりたいの?プロデューサーになりたいの?』と聞かれても、そもそも両者の違いがわからなかったので、『何が違うんですか?』と聞き返すしかできなくて。本当に何も知らずに業界に入って、怒られ続ける毎日でした」
現在の活躍からは想像できない入社当初の苦労。そんな小山さんの仕事観の原点は、意外な場所で育まれていました。
地下アイドルの経験から芽生えた“才能発掘”への情熱「スポットライトを当てたい」
テレビ業界に飛び込む前の小山さんには意外な過去があります。大学時代、地下アイドルとして活動していたのです。

「お客さんが全然来なくて、赤字でした。本当に恥ずかしくて言えないぐらい」と笑いながら当時を振り返ります。厳しい状況でしたが、そこで多くのアイドル仲間と出会い、新たな想いが芽生えます。
「地下アイドルってみんな本当に頑張ってるというか、私自身がそんなアイドルのことを好きになっちゃって。こんなに面白い人たちがいっぱいいるんだって。ここで、そういう才能ある人たちを見つけて、スポットライトを当てたいという気持ちが芽生えた気がします」
さらに、テレビ朝日の入社面接で地下アイドル活動を話すと、面接官は「すごいじゃないか」と絶賛。
「あんなふうに自分の活動を認めてもらうのは初めてだったので、『めっちゃいい会社かも。ここに入りたい』と思ったのが入社のきっかけです」
地下アイドル時代に芽生えた才能発掘への情熱は、今の仕事に直結しています。櫻坂46の冠番組『サクラミーツ』の企画会議では、櫻坂46のメンバーの成長について熱心に語ります。

「櫻坂46のメンバーたちのトーク力を育てていきたいんです。外の番組に出るときも、『この子たちしっかりしているな』と思われるようになってほしい。もっといろいろな番組に呼ばれて活躍してほしいんです」
小山さんの熱量の高さは、櫻坂46のメンバーにも伝わっています。櫻坂46の大沼晶保さんは小山さんについてこう語りました。
「テリハさんの番組制作には愛を感じています。収録で小道具を使ってボケたあと、うまく伝わったか不安になっていると、『あれは特技にできますよ!』と声をかけてくれる。そんな一言で私たちは自信が持てるんです」
「流行」よりも自分の「好き」を追求して走り続けた
今ではプロデューサーとして出演者からも信頼を集める小山さんですが、入社後のAD時代は苦労の連続だったと言います。特に、女性として業界で認められることに対するハードルの高さを痛感していたそうです。

「若い女性だと、マジでびっくりするぐらい力量を軽視されることもありました。『若い姉ちゃんがものづくりしている』みたいに見られて。そういう人たちを見返したくて仕事を頑張っている面もあります」
小山さんは、女性としてのキャリアプランも意識し、人一倍努力を重ねました。結婚や出産といった選択肢を考えると、他の人より「2倍の速さ」で成果を出す必要があると感じていたのです。自分を追い込み、時には体力の限界を超えてまで仕事に没頭。泊まり込みで収録の準備をし、お風呂にも入らず、「頭カピカピ」の状態で乗り切ることもありました。
そんな当時の小山さんを支えたのが、女性の先輩の存在です。
「生理痛でつらい日にロケが重なったらどうするか、女性の先輩に相談できたのはすごく心強かったです。『つらいときはトイレで泣いてるよ』という何気ない一言にも救われましたね。誰にも弱音を吐けない環境で、同じ悩みを持つ人の言葉って、こんなにも心強いんだなって」

こうした経験を重ねながらも、小山さんが常に大切にしてきたのは「自分が本当に好きなもの」、人の才能発掘やバラエティー番組への情熱でした。その姿勢は、次第に周囲の信頼を獲得していきます。『あのちゃんねる』MCのアーティスト・あのさんは、小山さんに対し、単なる仕事関係を超えた信頼を置いています。
「ライブにも毎回来てくれる。バラエティの顔だけでなくアーティストとしての一面も見たうえで尊敬してくれているのが嬉しい。彼女の好きなものに対するこだわりが周りにも伝わっています」

『ホリケンのみんなともだち』MCのネプチューン・堀内健さんは、小山さんの本質をこう評しました。
「『バラエティー番組が大好き』という熱量が伝わってきます。それに、流行ではなく自分の感性だけを信じてキャスティングするところが素晴らしい。あのちゃんを発掘したのも彼女ですからね」

『ロンドンハーツ』『アメトーーク!』など長寿人気番組を手がける加地倫三エグゼクティブプロデューサーは、彼女の企画力の源泉をこう分析します。
「流行りや模倣ではなく、自分の好きなことで企画書を書いてくるから、他の人とは違いますよね。彼女に好きな話題を振ると止まらなくなる。いい意味での“変態”です(笑)」
「好きなこと」と「はたらくこと」を天秤にかけている人たちへ
これまでのキャリアを通して、「好きなことを仕事にする」ことの価値を実感してきた小山さん。最後に、スタジオパーソルではたらくことにモヤモヤを抱える若者へのアドバイスを伺いました。

「『好きなことを仕事にすると、いつか好きじゃなくなる』と迷う人もいるかもしれませんが、私はためらわずにチャレンジしていいと思っていて。私の場合もそうです。地下アイドルとして活動してみたからアイドルがもっと好きになったり、テレビ朝日に入社したから番組制作の面白さに気付いたり。やってみないとわからなかったことばかりです」
決して楽な仕事とは言い難いテレビ制作の現場。それでも小山さんが10年間走り続けられた理由は、他では得られない喜びがあるからだと言います。
「企画した通りに収録が進むと嬉しいですけど、想定以上に面白い展開になって、現場のみんなで笑い合える瞬間が、すべての苦労を吹き飛ばしてくれます。番組制作って文化祭に似ていて、チーム全員が『いいものをつくろう』という共通目標に向かって一丸となる。大変だけど、みんなで一つのものを創り上げる過程自体が楽しいんです。自分なりの『楽しさ』を見つけて、感じられる人は長くはたらき続けられると思います」

「私は自分一人の力だけで頑張るより、応援したい人や好きなコンテンツのために力を尽くすほうがモチベーションが湧くんです。自分が心から好きだと思えるものや人のために全力を注げる、その“オタク気質”が私のはたらく原動力です」
※今回お伝えし切れなかったフルバージョンの動画はYouTube『スタジオパーソル』にて公開中
(「スタジオパーソル」編集部/文:間宮まさかず 編集:おのまり)

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