- TOP
- SELECT Work Story
- 就活失敗、離婚、コロナ解雇。すべてを失って見つけた夢はノマド生活だった
就活失敗、離婚、コロナ解雇。すべてを失って見つけた夢はノマド生活だった
スタジオパーソル編集部が、世に発信されているさまざまな個人のはたらき方ストーリーの中から、気になる記事をピックアップ。
今回は、はたらくことの喜びや、はたらくなかで笑顔になれたエピソードについて語る記事をご紹介します。
優等生で語学に長けていたベロニカさんは、チェコの大学で日本語を専攻し、日本への就職を希望します。しかしうまくいかず、チェコですべての生活を投げ打って電撃結婚するも破局し、「すべてを失った」と感じます。それからもコロナ解雇されるなど挫折を繰り返した末に、ある夢を持つように──。度重なる失敗や挫折のなかで希望を見いだしたエピソードを、noteに投稿しました。
「期待される子ども」だったのに、就活に失敗した
スロバキアに生まれたベロニカさんは、勉強ができて語学が得意だったため「周りから期待される子ども」として育ってきました。
やりたい仕事は親から拒否され
「こんなに言語ができればきっといい仕事に就くに違いない」
「国連とか大使館で働いてもいい」
と言われる日々。
当然、現実は周囲の期待ほど甘いものではありませんが、ベロニカさんは「もっと上を目指せ」と強要されるプレッシャーを感じていました。
隣国・チェコの大学で日本語を専攻し、日本に留学したベロニカさんは
「日本ではたらきたい」
と思うようになり、母国のチェコに戻ってからも遠隔で日本企業の就職活動を続けます。
2年もの間、大学とバイトの合間を縫って星の数ほど多くの面接を受けましたが、毎回
「労働ビザがないと雇ってもらえない。内定がないと就労ビザが下りない」
という課題にぶつかり、前に進めません。
どうもできないのは何より悔しかった。
運命があるなら、それは自分自身の夢に近づくものだより
自分が無能すぎる!!と断りメールが届く度によく泣いていた。
日本での就活がうまくいかず、チェコの大学を卒業してからは博士課程へ進学し、仕事も始めます。
このままチェコで生活することになるかと思われましたが、想定外の出来事が起こりました。
1年半で離婚し、2回解雇され、新しい夢ができた
これまで結婚願望を持っていなかったベロニカさん。
しかし、好きな人ができて電撃結婚し、彼に連れ添って世界中を旅することになります。
ヨーロッパ生活のすべてを捨てて、新しい生活をスタートしたのです。
いろんな国を回りながらの生活がとても楽しかったし、夢のようだった。しかし、サラリーウーマン兼研究者だった私は、結局やりたいことを何もできなくなった。
運命があるなら、それは自分自身の夢に近づくものだより
当然ながら、博士課程も続けられず、辞めることに。その過程での悩みを夫に告げることもできず、不満が募ります。
それでもなんとか前を向こうとしていましたが、結婚からわずか1年半後、パスポートの名字を変えたばかりのタイミングで夫から「離婚したい」と告げられます。
ベロニカさんはこれまでの生活を手放したばかりで、すべてを失った、と感じました。
絶望の中、それでも、心の奥に残っていたのは
「アジアが好き。ヨーロッパに帰りたくない」
というポジティブな気持ちでした。
全てを失った私は、友達がいるタイのバンコクへ行くことにした。行ってから次どうするか決めようと。
運命があるなら、それは自分自身の夢に近づくものだより
有難いことに、人に恵まれているという何よりの財産を持っているから、皆の力を借りて気づいたらバンコクで働いていた。
職場では虐めがあり苦労しましたが、それでも辞めずに踏ん張りました。
ところが、コロナ禍により勤務年数が1年未満のスタッフは解雇されることに。
ベロニカさんもその一人でした。
それでもへこたれず、2週間で次の就職先を見つけますが、またもやコロナ規制の影響で解雇。
立て続けに失業したことで、
「会社や飲食店などの組織に頼らずにはたらけないだろうか」
と方向性を見直します。
そして目を向けたのが、ノマドワークです。
去年訪れたジョージアでノマドワーカーに出会い、そのはたらき方に感銘を受けたのだそうです。
旅行や異文化大好きな私は、ノマドに憧れていた。いつかなってみたい、という夢を見ていた。しかし、なれる自信がなかった。
運命があるなら、それは自分自身の夢に近づくものだより
それでも、自信がないからとあきらめる人ではありません。
今は周囲のサポートを受けながら、ノマドワーカーとしてのはたらき方、そして生き方を模索しています。
4年住んでいたバンコクを去り、新しい道へ進む勇気も生まれました。
失敗しないとたどりつけない「ゴール」がある
何度つまずいてもあきらめないベロニカさん。
心折れることなく考え続けたおかげで、ノマドワーカーという新しい夢を見つけました。
まだ生計を立てられる段階ではないため、当然ながら不安はあります。
簡単な道でもありませんが、これまで失ってきた選択肢をもう一度手にするために、自由な人生を歩みだすために、ベロニカさんは前を向いて行動し続けています。
それに、失ったものばかりではありません。
再びのゼロからのスタートだと言いたくても、支えてくれている仲間がいるので、ゼロとは言えない。
運命があるなら、それは自分自身の夢に近づくものだより
むしろ、大きなプラスです。
一歩踏み出した先で大きくつまずいても、あきらめずに立ち上がり続けたから、支えてくれるたくさんの仲間ができました。
常識に縛られず、自信のなさにとらわれず、進みたい方向へ進む力も培われています。
目に見えた成果はなくても、ベロニカさんの経験は財産になり、しっかりと積み上げられています。
そして、ベロニカさんはこうも語ります。
解雇とか、悲しいこと、悔しいこと、失ったモノすべては、私に今の道へ案内しようとしたんだろうな、と今強く思う。
振り返ってみると、どんな苦労があっても、それはただの方向転換に過ぎなかったことだった。自分にとってよりいい道を歩ませるために。
運命があるなら、それは自分自身の夢に近づくものだより
どれだけ大きな失敗をしても「すべて今につながるものだ」と受け入れるしなやかさがあれば、何度も立ち上がれるのでしょう。
「やりたいことに挑戦しよう」
「思い切って一歩踏み出してみよう」
といった言葉は、一見無責任に思えるかもしれません。
勇気を振り絞って挑戦しても、失敗してしまうリスクもあります。
でも、ベロニカさんのように「夢を叶える努力」を絶やさなければ、最終的には納得できるゴールにたどりつけるのではないでしょうか。
そのゴールは、今思い描いているゴールよりも、はるかにいいものかもしれません。
Veronika(ベロニカ) スロバキア出身。渡航38ヶ国。様々な国に住み、経験や見てきた世界を語るマルチリンガル。言語・旅行・異文化・思考などについて執筆している。 夢に向かってnoteで配信している。 通訳・翻訳・ライターなどの仕事の依頼を受け付けております。 |
(文:秋カヲリ)
※ この記事は「グッ!」済みです。もう一度押すと解除されます。