仕事と生活に刺激を求めて。「ホテル暮らしOL やよぴ」さんが実践するフリーアドレスなはたらき方
全国各地のホテルの魅力を紹介しているフォロワー数10万人超のインフルエンサー「ホテル暮らしOL」ことやよぴさん。生活にも仕事にも「刺激が欲しい!」という思いから、本業であるPR・マーケターの仕事をしながらホテルで暮らし始めて2年半。
実際のところ、「ホテル暮らし」ってどう? メリット、デメリットは? ワーケーションをするならばどこがオススメ?場所に縛られずにはたらくやよぴさんのライフスタイルに迫ります。
「ホテル暮らしは今しかできない!」。コロナ禍に家を手放した理由
——やよぴさんがホテル暮らしを始めたきっかけを教えてください。
コロナが流行し始めた時に、勤めていた会社がフルリモートになり、そのタイミングで自宅の契約更新もあったので、次はどこに住もうかなと考えていたんです。それまでは会社と家を往復する生活だったのですが、これを機にライフスタイルを変えてみたいなって。
——ホテル暮らしのほかにも選択肢があったのですか?
普通に引っ越すか、二拠点生活もありだなと思っていたのですが、ちょうどその時に「ホテルにマンスリープランが誕生」というニュースがX(旧Twitter)で流れてきたんです。それで「ホテル暮らしっていう選択肢があるのか!」と思って。
いずれにしても家具を買い替えようと思っていたので、家具は基本的に全部捨てて、一部の荷物は実家に置いて、次の住む先を見つけるまで、ホテル暮らしを実践してみよう!という感じで始めたんですけど、もう2年半くらい経っちゃいましたね。
——ホテル暮らしとなるとそれまでの生活とはがらりと変わりそうですが、すぐに慣れましたか?
やっぱりいきなりホテルを転々とする暮らしは勇気がいるなと思ったので、最初の1カ月くらいは近場でホテルステイをするところから始めました。ホテルで連泊した経験があまりなかったので、過ごしやすさや費用面など、実際どうなのかなあと検証するつもりで。
でも、当時コロナ禍の施策などでホテルがすごく安くなっていたので費用面はクリア出来ましたし、「ライフスタイルホテル」と呼ばれる良い雰囲気のホテルも増えてきていて、過ごしやすさの面でもいける!っていうのが見えたんですよね。それで本格的にホテル暮らしをスタートしました。
——1つのホテルにどれくらい滞在されているんですか?
短いと1、2泊だけ、長いと2週間ぐらいですね。暮らすというより非日常感を味わうためのホテルだと仕事には不向きなので、そういうところには土日に泊まります。
あと、価格的に何泊も出来ないホテルもやっぱりあるので、連泊出来そうなホテル、1泊だけ体験しに行きたいホテルなど、その施設の特色に合わせて選んでいます。
——滞在するホテルはどうやって決めているんですか?
平日であれば仕事をする時間もあるので、仕事がしやすいことは必須条件です。その上で、内装、コンセプト、ストーリーが素敵とか、推しポイントがあるホテルを選んでいます。
ホテル生活をしているうちに、いろんな内装やインテリア、建築を見たり、ホテルを体験したりすることにすごくハマっていったんですよ。そこでしか体験出来ないものがないホテルにはあまり泊まらないです。
——ホテルでの「体験」に重きを置いているんですね。
そうですね。まだ家に住んでいた時、コロナ禍でオフラインのミーティングがなくなって、外食することも少なくなったし、友達と会う機会も本当に減っていったので、日常がルーティン化しちゃうなと感じていたんです。もともと好奇心が強いタイプですし、変化があることで仕事のアイデアも生まれてくる。だから、変化と刺激を住環境に求めたという感じです。そうしたら思ったより楽しくて、今まで続いちゃっています。
——「続いちゃっている」、という感じなんですか?
そういう感じです。ホテルに泊まっていることでインテリアにすごく興味が湧いてきて、むしろ自分の家をホテルライクにしたら良いんじゃないかと思ったことがきっかけで、何回か家を借りようかなっていうタイミングもあったんです。
でも、たとえば子どもが出来たり、仕事が全部オフラインになったりしたら、こういうライフスタイルはあまり現実的じゃないじゃないですか。この先の人生で何があるかわからないので、やりたい気持ちがあるうちにやっておこうかなって。
あくまでホテルは「趣味」。ユーザー目線でいるため大切にしている、仕事との線引き
——やよぴさんは現在、ホテル情報を発信するインフルエンサーとして活躍されていますが、ホテル暮らしが仕事に繋がっていくという予感は当初からあったのですか?
いえ、最初はまったくなかったです。純粋に「ホテルってすごい素敵じゃん!」って思いを友達に伝えるような感覚でX(旧Twitter)に投稿し始めたので、インフルエンサーになることも考えていませんでした。
コロナの自粛ムードが明けて多くの人が旅行に行きたいなって思っていたり、旅行系の発信をするインフルエンサーが少なかったりという時期が重なって、あっという間にフォロワーが伸びていって。そこからインフルエンサーとして、ホテルのPRのお仕事や、古民家リノベで地方に貸別荘をつくるプロジェクトなど、幅広くお仕事をいただくようになりました。なので、本当にたまたまですね。
——趣味が仕事になっていったということでしょうか。
ホテル暮らしを始めた時はマーケティングやPRを、現在はWeb3やNFTといったIT分野の仕事をしていますが、インフルエンサーの活動にはこれまでの仕事も活かされていますし、だんだん仕事の境目が曖昧になってきた感じはありますね。
ただ、趣味は趣味として大事にしたいとは思っているので、そのバランスは崩さないように気をつけています。ホテル関連の活動は趣味と副業の間というか。
——フォロワーも増え、仕事にも繋がってはいるけれど、あくまで本業にはしないのですね。
私、趣味がないことが悩みだったんですよ(笑)。仕事を好きになって、そこからハマっていくことはあるんですけど、純粋に趣味として楽しんでいたものが旅行やホテルぐらいしかなかったんです。その貴重な趣味を本業にしてしまうと、ユーザーとして楽しめなくなっちゃう気がしていて。あくまでユーザー目線でいられる今のバランスが、私としてはすごくちょうど良いです。
なので、リサーチのためにホテルに泊まることはなくて、あくまでもユーザーとして興味があるホテルに泊まっているんです。自分の中でのその線引きは超えないようにしています。
——ホテル暮らしを始めたことで、趣味ができたこと以外にはどんなポジティブな変化がありましたか?
ものをたくさん持つことが出来ないので、本当に必要なものだけを選んで買うようになりました。それは予想していなかった変化ですね。どうしても手放したくないものだけ実家に置いておいて、あとはスーツケースに収まるぐらいの荷物だけ持って移動するようにしています。
やよぴさんお墨付き。ワーケーションにオススメのホテル4選
——短期でのホテルステイや、一度お試しでホテル暮らしを試してみたいという人におすすめのホテルがあれば教えてください。
東京都内だったら、日本橋の「HAMACHO HOTEL TOKYO」がおすすめです。1人で泊まるのにちょうど良いコンパクトな部屋があって、デスクがあるので仕事がしやすいですし、都内だけど緑を感じられる立地なんです。近くに商店街があるので、ちょっと観光気分というか、非日常感も味わえますよ。
あとは赤坂の「OMO3東京赤坂 by 星野リゾート」。星野リゾートのホスピタリティも感じられるのですが、ほかの施設と比べてお手頃な価格帯なのでおすすめです。カフェが入っているので、そこで作業も出来るし、駅近でアクセスも便利。周辺には飲食店もいっぱいあるので、ご飯にも困りませんし。
——やよぴさんご自身のお気に入りのホテルはどこですか?
私はホテル暮らしを始めたばかりのころ、よく外苑前の「三井ガーデンホテル神宮外苑プレミア」に泊まっていました。「都心の別荘地」がテーマで、周辺の自然が本当に豊かなんです。宿泊者限定のラウンジスペースで仕事が出来ますし、大浴場がついていたり、ルーフトップテラスもあるのでいろんな過ごし方を楽しめますよ。私が泊まっていたころからは価格が高くなってしまっているので、空いている時期を狙ってみてほしいです。
——ワーケーションならどこがおすすめでしょう?
京都は宿泊費が結構安くおさえられるホテルが多いので良いと思いますよ。「sequence KYOTO GOJO」というホテルは五条駅からも四条駅からもアクセスが良く、1階に広いカフェがあるので仕事が出来ますし、サウナと大浴場もついているんです。
——やよぴさんのように変化を求めたり好奇心旺盛な人のほかに、どんな人がホテル暮らしに向いていると思いますか?
移動時間などの調整が難しいこともあるので、仕事の時間を柔軟に調整できる人でないと、ホテルを転々とする生活を続けるのは難しいかもなって思います。その場合は、短期間でのワーケーションのほうが合っているかもしれませんね。私も、困った時に泊まる「定宿」みたいなホテルがあるんですよ。そういう自分に合う宿を見つけて、定期的に通ってみるのも良いと思いますよ。
やはり、ホテル暮らしをいきなり始めるよりは、ワーケーションや二拠点生活などで、いつもの場所からちょっとだけ環境を変えてみることから始めるのがオススメですね。それだけで日常に良い緩急や変化が生まれて、仕事がはかどったり、より良いアイデアが生まれたりするきっかけになるのではないでしょうか。
(文:飯島藍子 写真提供:やよぴ)
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