「社風が合わない…」。25歳で早期退職2度の私が、すぐ仕事を辞めてよかった理由。

2024年12月5日

スタジオパーソル編集部が、世に発信されているさまざまな個人のはたらき方ストーリーの中から、気になる記事をピックアップ。
今回は、転職活動中に知った、「自分らしくはたらける場所の見つけ方」について語られたエピソードを紹介します。

22歳と24歳で二度、転職を経験した原田優香さん。いずれの職場も在籍期間は1年未満と早期離職だったことから「仕事が続かない理由は、環境ではなく自分にあるのでは」と気付いたそうです。その後、自己分析を続ける中で見えてきたのは「自分が大切にしたい価値観」。数々の成功と失敗を経てたどり着いた「後悔しない選択のための転職軸」について、noteに投稿しました。

※本記事の引用部分は、ご本人承諾のもと、投稿記事「1500円のカレーが食べれずに泣いて帰った、私の転職体験記。」から抜粋したものです。

社風が合わない……。苦労して新卒入社した会社を5カ月で退職

大学時代に取り組んだ研究の成果を活かし、卒業後は被災地支援の仕事に就いた原田さん。移住までして挑戦した職場でしたが、入社後、5カ月で退職することに。理由は、会社の雰囲気と仕事内容にどうしてもなじめなかったから。

当時の上司は、私のことを本当に大切に想ってくれて手厚いサポートもしてくれたし、先輩も一人暮らしの私を心配しておかずを作って渡してくれたり、本当に良くしていただいていました。
ただ、服の指定があったり、時間の縛りがあったり、指示された仕事以外は手を出してはいけなかったり、基本決められたことしかできない環境で、当時の自分にとっては窮屈に感じることが増えていました。

1500円のカレーが食べれずに泣いて帰った、私の転職体験記。 より

守るべきルールの中でしか身動きが取れない。自分の性格と仕事とのミスマッチに気付きつつも、「仕事だから頑張らねばならない」と無理を続けた結果、次第に体調を崩し、仕事に行けなくなったと言います。

その後、1カ月の休職期間を経ても業務に戻ることはできず、退職を決意。

「収入がなくなる……」
「早く次の仕事を決めないと!」

人生で初めて経験する出来事に、原田さんは焦りを抑えられませんでした。

2社目の早期退職をきっかけに自分自身と向き合う

先々の生活への不安から、原田さんはすぐに次の職を探し始めます。1社目の経験をふまえ、企業選びの際は社風や規定、はたらき方などさまざまなことを考慮しました。

しかし、2社目に転職するも、入社8カ月目を過ぎたころに再び体調を崩し、休職せざるを得ない状況に……。人間関係が大きな要因だったと感じる一方で、原田さんはあることに気付きます。

会社が自分に合わない、周りが理解をしてくれない、そう思っていたけれど、そもそも自分自身に問題があるのではないか

1500円のカレーが食べれずに泣いて帰った、私の転職体験記。 より

そう思い当たった原田さんは、「環境を変えること以上に自分自身の内面に意識を向けよう」と決意し、3カ月の休職期間を経て2社目を退職。すぐに転職活動には取りかからず、まずは自分自身の回復のために時間を使いました。

拠点を変え、実家のある京都へUターン。するべきことが何もない空白期間に、日記を書き、本を読み、ひたすら自分自身と向き合い続けた原田さんは、次第に「自分の思考の癖」を理解していきました。

自分と向き合った結果、自分の何が課題なのかということも少しずつ見えてきました。私は、他者の行動や言動にまつわる過剰な解釈が自分を苦しめていることに気づき、その解釈を和らげる練習(認知行動療法や、対人コミュニケーションの練習)をしました。

1500円のカレーが食べれずに泣いて帰った、私の転職体験記。 より

1,500円のカレーが注文できない自分に衝撃を受ける

生きづらさにもつながる自分の考え方を知り、その解釈を変えるためのトレーニングを積み重ねるうちに、「自分以外の誰かと一緒にはたらきたい」という想いが自然と芽生えたそう。

再就職への第一歩として選んだ農場でのアルバイトでは、外国人と言語の壁を乗り越えながら、ともに大いに身体を、手を動かし、「労働する喜び」を感じました。

自分のやりたいこととかやりがいとか、わからなかったけれど、とにかく身体を動かす、誰かと一緒に働く、ということが気持ちよかったし、楽しかった。
将来への不安はありましたが、とにかく身体を動かす、ということを通して、少しずつ精神的にも身体的にも回復していき、活動的になっていった気がします。

1500円のカレーが食べれずに泣いて帰った、私の転職体験記。 より

心身ともに回復に向かっていたある日。原田さんに再び転職を決意させる大きなきっかけが訪れました。久しぶりに会った友人と訪れたたレストラン。そこで原田さんは、1,500円のカレーが頼めなかったのです。アルバイトに奮励していても、生活費のやりくりはまだ厳しい。結局この日は手持ちが足りず、友人にお昼をごちそうになります。

情けなくて悲しくて、友達とバイバイした後、私は泣きながら帰りました。
自分の好きなものも注文できないってこんなに悲しいんだ、と思った出来事でした。

1500円のカレーが食べれずに泣いて帰った、私の転職体験記。 より

時間をかけて、自分自身と、将来に向き合い続けた原田さん。ついにはたらくことへの意欲が高まり、この日を境に二度目の転職活動を開始しました。

転職軸を自分に置く。ようやく見つけた自分らしく居られる場所

自分のやりたいこと、はたらきたい仲間への解像度を高め、次なる転職活動に挑んだ原田さん。これまでとは異なり、規定や給与といった職場環境ではなく、何よりも自分の価値観を大切にしました。より自分の興味関心に合う業種業界と出会えるよう、使う求人媒体にもこだわりを持って転職活動を続けます。

求人を読んでいるだけでも、自分が「いいな」と思う言葉や考え方に出会うと、ヒントになります。それらをメモしていきながら、「なんでそれが良いと思ったのか」や「自分はここでどんなことができるか」など想像しながら、自分の働きたいと思う会社の言語化を深めていきました。

1500円のカレーが食べれずに泣いて帰った、私の転職体験記。 より

自分軸をもとに会社を探すうちに、自分に合う会社のイメージもどんどんクリアになりました。そうして2社目の退職から約半年後、原田さんはついに、心から納得できる職場に巡り合ったのです。

複数回の転職を経て、原田さんはいくつかの教訓を得たと語ります。

・不安が少しでもあったらすぐに辞めずに「休職」という選択肢もある
・特にお金の不安で焦って次を決めることは、できる限り避ける
・働きたい会社の言語化をしておく
・最初から正社員でなく、アルバイトスタートでもOK。後に正社員になるという道もある
・初めの段階(カジュアル面談)で自分の苦手なこと、弱さを共有しておく

1500円のカレーが食べれずに泣いて帰った、私の転職体験記。 より

3社目では、それまでかなわなかった勤続1年を無事に迎えた原田さん。自分に合った環境と心から納得できるはたらき方を見つけたことで、期せずして副業にも勢いがつき、独立への道にもつながったと言います。

はたらくことは、生きること。自分を知り、得意なことを見つけ、貢献できる場所を探す。そうして見つけた場所ではきっと、充実した人生を送ることができるのではないでしょうか。原田さんが語る、実体験に基づくリアルな転職体験記には、今まさに転職を考えている人、生き方に迷う人へのエールも込められていました。

<ご紹介した記事>
1,500円のカレーが食べれずに泣いて帰った、私の転職体験記。

【プロフィール】
原田優香
合同会社&ante代表。立教大学大学院LDC4期生。組織と個人の可能性を広げる場づくりを目指す産業カウンセラー。自分の特性を言語化することが得意です。365日noteに挑戦中!

(文・ながたせいこ)

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ライター/編集者永田盛香
1984年滋賀県出身。元新聞社系出版社勤務。ライター、インタビュアー、編集者として活動のかたわら、子ども向けの表現教室運営も行う。「気持ちの言語化を通し、自己理解を深めるお手伝いをする」をテーマに、人の話を聴きながら想いのコアな部分に光をあてたい。年の差姉妹(8歳)の育児に奮闘中。

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