『キッズ・ウォー』双子俳優・斉藤祥太、電気工事士に。ざけんなよ”翼くん”から23年。30歳で週5勤務の職人に。

2026年5月19日

はたらく情報メディア『スタジオパーソル』が運営するYouTubeでは、仕事終わりの晩酌まで1日密着し、はたらく本音を深掘りする番組をお届けしています。

今回密着したのは、かつて双子の弟・慶太さんとともにテレビドラマ『キッズ・ウォー』や情報バラエティ番組『王様のブランチ』のレギュラーに出演するなど、芸能界で幅広く活躍した斉藤祥太さんです。彼は現在、俳優を続けながらも、電気工事士として現場に立っています。

「芸能界に執着する自分がダサいと思えた」と、その選択を自然体で語る斉藤さん。解体工事、ガス工事、そして電気工事と、さまざまな現場を渡り歩いた斉藤さんの歩みには、「自分らしいはたらき方」を探すためのヒントが詰まっていました。

※本記事はYouTube『スタジオパーソル』の動画を一部抜粋・編集してお届けします

「歌舞伎町タワー」の防犯カメラは、ぼくがつけました

現在、斉藤祥太さんは電気工事会社に勤めています。俳優業も継続していますが、日々の主な仕事先は電気工事の現場です。専門とするのは、オフィスや商業施設への防犯カメラや顔認証機器といったセキュリティ設備の設置など、いわゆる「弱電(じゃくでん)」と呼ばれる領域です。

「基本的には月曜日から金曜日まで現場に入って、配線やカメラを取り付ける作業をしています。セキュリティ機器に関連した仕事が多いですね」

斉藤さんが担う役割は、設置作業に留まりません。顔認証機器の取り付けでは、電源盤への配線から扉の電気錠との連動まで一連の工程に携わります。木製の扉の内部に細い配線を通すなど、ミリ単位の精度が求められる作業も少なくありません。

「配線の過程で壁に穴を開ける前には、常に裏側に何があるかを予測し、慎重に判断しなければなりません。一歩間違えれば修復が難しい作業だからこそ、作業する瞬間は今でも緊張します」

そうして一つひとつの現場で積み上げてきた仕事の成果は、街のあちこちに刻まれています。

「有名な都内大規模タワー施設やオリンピック選手村などにも携わりました。街を歩く人は誰もぼくがやったとは知らないんだろうな、と思いながらも、その気付かれないけれど街を陰で守っているという感覚がやりがいにつながっています」

電気工事士は、着工から竣工まで現場に関わり続ける存在です。他の職種の職人が工程ごとに入れ替わる中、電気工事だけは建物が完成するまで一貫して携わります。

「建物がどういう仕組みで建っていくのか、その全容が分かるのがこの仕事の醍醐味」と斉藤さんは語ります。

「プロとしての覚悟が足りなかった」子役時代

斉藤さんが芸能界に入ったのは、小学生のころ。出演したテレビドラマ『キッズ・ウォー』は高視聴率を記録した人気作となり、子役として広く知られる存在になりました。その後は情報バラエティ番組『王様のブランチ』のレギュラーをはじめ、数多くの仕事に恵まれていきます。

しかし、華やかな実績の裏で斉藤さんの仕事への向き合い方には、ある“ずれ”が生じていたと言います。

「たくさんお仕事をいただいていたけど、当時は『この仕事で一生食べていく』というプロとしての覚悟が足りなかったんですよね。中学校の友達と遊んでいるノリの延長みたいなところがあって。『友達は遊んでいるのに、なんで俺だけ今から撮影に行かなきゃいけないんだろう』と思ってしまうこともあった」

斉藤祥太さん(右)と、双子の弟・慶太さん(左)

芸を磨くことに対しても、「どうすればもっとうまくなれるんだろう、という探求心が欠けていたのかもしれない」と当時を振り返ります。事務所の社長から「演技の糧として本を読め、映画を見ろ」とアドバイスされても素直に受け取れずにいたと言います。

加えて、当時はまだ若かったこともあり、固定給制が気持ちの緩みに拍車をかけました。仕事の増減に関わらず収入が変わらない環境では、「頑張っても頑張らなくても同じだ」という甘い感覚がどうしても芽生えてしまう。こうした意識の積み重ねが、少しずつ仕事のオファーにも響いていくことになりました。

テレビ出演が減り、建築業界へ。「顔を隠して」はたらいた日々

俳優の仕事が減っていく中で、斉藤さんは解体工事業を営む幼馴染から誘われ、建設現場での仕事を始めました。

最初は手伝い程度のつもりでしたが、現場で経験を重ねるうちにトラックの運転を任されるようになり、気付けば俳優業の傍ら、本格的に現場へ出るようになっていました。その後はガス工事にも従事し、数年にわたって過酷な労働環境に身を置くことになります。

屋外の現場仕事の厳しさは、想像以上でした。「夏は暑いし冬は寒い。手作業で地面を掘り続けると、夜には箸を持つだけで指がつるほどだった」と斉藤さん。「これは社会貢献なんだ」と自分に言い聞かせてモチベーションを保っていましたが、体への負担は大きく、将来への不安も募っていくばかりだったそうです。

一方、現場では芸能人だと気付かれないようにサングラスをかけ、黙々と作業をこなす日々が続きました。注目されることで仕事に集中できなくなること、そして何より「俳優がこんな仕事をしている」と思われることへの抵抗感があったと言います。

しかし、ある時期から“隠している自分”に対する違和感が強くなっていきます。

「悪いことをしているわけじゃない。むしろ、実際に現場で汗水流してはたらいている人たちがいるんだから、自分もこの仕事をしていることを恥じる必要はないと思うようになったんです」

「芸能界だけにいつまでも執着したくなかった。過去に未練を残しているほうがダサいと感じてしまったんです。それよりも、新しい技術を覚えたり、自分が心から好きだと思えることに没頭したりする時間を優先したい。『気付かれたくない』という自分よりも、前向きな気持ちが勝っていきました」

そうして自然体で自分の仕事を語れるようになったころ、中学校の同級生から電気工事の仕事に誘われます。解体工事もガス工事も経験していた斉藤さんでしたが、電気工事の世界だけは未知の領域でした。それが逆に、新たな一歩を踏み込む理由になったと言います。

「できないからこそ、できるようになりたい。そう思って、電気の仕組みすら分からない状態で現場に入り、実践しながら覚えていきました。30代での再出発でしたが、『30歳はまだ何でもできる、やり直せる』と前向きに捉えていましたね。第二種電気工事士の資格も取得しました」

現在は結婚し、お子さんも生まれている斉藤さん。家族との生活について考えるようになったことも、仕事と向き合う姿勢が変わる転機になりました。「電気の仕事を極めるまで続けたい」と語る斉藤さんの表情に、かつての迷いはありません。

お子さんを肩車する斉藤祥太さん(左)と慶太さん(右)。

「今の仕事が面白くない」と感じている人へ

「はたらくこと」とは何か、その定義を尋ねると斉藤さんはこう答えました。

「仕事をしなかったら、結局は暇じゃないですか。だから、はたらくって本当の意味での『最高の暇つぶし』だと思っていて。それが自分の好きなことや、やりがいを感じることだったら、なおさら最高だよなって」

ただ、その「最高」に辿り着くためには、ある程度続けることが不可欠だとも言います。

「どんな仕事でも、最初はちっとも面白くないですよ。何も分からないからつらいし、苦労ばかりが目につく。でも、仕組みを理解し、自分の力で現場をコントロールできるようになると、急に楽しくなってきます。続けてみてはじめて分かる面白さが、どの仕事にも必ずあるんです」

華やかな世界から泥臭い現場まで、地続きに歩んできた斉藤さん。今、仕事にモヤモヤを抱える若者へ向けて伝えたいのは、根性論ではなく「心の余白」の作り方です。

「やりたくないな、つらいなと思う瞬間は、どんな仕事でも必ずあります。そういうとき、まずは『どうすればこの状況を楽しめるか』と俯瞰して面白がる余裕を持つことですね。そして、どうしても行きづまったときのために、心の最後の引き出しに『まあ、どうにかなるか』というスペースを残しておくこと。その余白があるだけで、自分を追いつめすぎることはなくなります」

※今回お伝えしきれなかったフルバージョンの動画はYouTube『スタジオパーソル』にて公開中

(「スタジオパーソル」編集部/文:間宮まさかず 編集:いしかわゆき、おのまり)

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ライター/作家間宮まさかず
1986年生まれ、2児の父、京都在住のライター・作家。同志社大学文学部卒。家族時間を大切にするため、脱サラしてフリーランスになる。最近の趣味は朝抹茶、娘とXGの推し活、息子と銭湯めぐり。
著書/しあわせな家族時間のための「親子の書く習慣」(Kindle新着24部門1位)

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