偏差値38から上智大のかとゆり。”やりたくない”を基準に生きたら人生が変わった「無理しない勇気」とは

2025年12月11日

スタジオパーソルが運営するYouTubeでは、さまざまなはたらく人の履歴書から「私らしいはたらき方」について深掘りインタビューを行っています。

今回密着したのは、TikTokフォロワー数は75万人を超え、週刊ヤングジャンプなどグラビア7紙で表紙を飾るなど、超人気インフルエンサーのかとゆりさんです。2021年にYouTuberヒカルさんを”逆ナン”する動画をきっかけに注目され、「美しすぎる上智大生」として話題となりました。

2025年6月には結婚を発表し、プライベートでも充実した日々を送るかとゆりさん。しかし、華々しい活躍の裏には、「本当はやりたくないこと」と向き合いながらの試行錯誤がありました。彼女が語る等身大の言葉からは、モヤモヤを抱えながらはたらく多くの人にとってのヒントが詰まっています。

※本記事はYouTube『スタジオパーソル』の動画を一部抜粋・編集してお届けします

偏差値38の高校から上智大学へ

高学歴の家系で育ったかとゆりさんは、幼少期から水泳、英会話、そろばん、体操、テニスなど7つの習い事を掛け持ちしていました。中学受験のために塾へは週4日通う多忙な日々。

しかし、家族の期待をよそに “高学歴”とはほど遠い高校に進むことになります。

「『部屋で過去問解いてる』って嘘をついて、ずっとYouTubeを見ていたんです。私、勉強したくなかったんですよね。受験は全部落ちました」

そんなかとゆりさんでしたが、高校生になり、上智大学という初めて「入りたい」と思える大学を見つけます。

オープンキャンパスで上智大学の脳科学の授業に興味を持ったかとゆりさんは、自分なりに脳科学について調べた内容をまとめて、その場で教授に見せました。すると議論が盛り上がり、研究室見学や学会参加にまで話が発展。この体験を志願書に書いた結果、見事に自己推薦で合格を勝ち取ります。

「これで受かると思っていなかったので、人生で一番嬉しかったですね。『え、こんなことありえるんだ』って」

偏差値38の高校から上智大学入学へと、大逆転合格を果たしたかとゆりさん。上智大学での新しい環境が、彼女の仕事観に少しずつ変化をもたらしていくことになります。

大学時代は友だちゼロ?アイドルのマネジャー業で見つけた自分の武器とは

大学2年生のある日、チェキを撮影するアルバイトとして関わっていたアイドルグループでトラブルが発生します。マネジャーが突然辞めることになったのです。

「『代わりに誰がやる?』という話になり、ほかに手を挙げる人がいなかったので、『じゃあ、私がやります』って。大学2年生でアイドルのマネジャーになりました」

こうして予想外に始まったマネジャーの仕事。しかし、かとゆりさんにとって、この仕事は試練の連続でした。

「私、数を数えるのが本当に苦手で。たとえば100枚のカードがあったとして、『これ何枚ある?』と言われても、5周くらい数えないと分からないんです」

マネジャーの仕事には、グッズの準備や売り上げの集計などの細かい作業が山積み。特に数を数える作業は大の苦手だったと言います。

大学生活でも同じような苦労がありました。聞こうと思わなければ何も耳に入ってこないため、興味のない授業は本当に何も聞いていない。数字が覚えられないために、発表の日に来ない——。

「友だち?いないです!人の顔も覚えられないし、ほんと『やばい子』みたいに言われていて」

協調性のなさを痛感していたかとゆりさんでしたが、マネジャーの仕事を通じて新しい才能に気付きます。営業です。

当時20歳ながら、毎日さまざまなプロデューサーと飲みに行き、「うちのアイドルを出してください!」と売り込んでいました。

「アイドルの世界って村社会なんです。影響力のある“村長”のような人たちが何人かいて、誰と仲良くするかで、そのアイドルの人生が決まってしまうような。だから、まずは戦略的にその“村長”全員と仲良くなっていきました」

数えるのが苦手で、協調性がない。でも人と話すことは得意。かとゆりさんは自分のできないことと向き合った結果、強みを活かす方法を見つけていきました。

「お金はそんなにいらない」と気付いた時、不安定な仕事が怖くなくなった

マネジャー時代のかとゆりさんに、人生を変える偶然の出会いが訪れます。YouTuberのヒカルさんが「1人で電車に乗ってみる」企画で歌舞伎町を歩いていた時、かとゆりさんが声をかけ、そのまま一緒に食事に行くことになったのです。この“逆ナン”動画が多くの反響を呼び、そこからヒカルさんとのコラボ企画も始まりました。

「『え、なんで?』と驚くくらいにめちゃくちゃバズって。当時、インフルエンサーになるなんてまったく考えていなかったので、本当に流れでこうなっちゃった感じです」

徐々にかとゆりさんは、TikTokでの活動に力を入れるようになります。友達と居酒屋で撮影した動画など、自分の日常をネタにしたリアルな動画は次々とバズを記録。何度も数百万回再生を叩き出し、案件の依頼も絶えないようになりました。あまりの楽しさに「これって仕事になるんだ」と衝撃を受けたと言います。

一方、インフルエンサーの仕事には大きな波があることも実感しました。月収が前月の6分の1になったり、「来月の予定ゼロじゃん」と頭を抱えたり。実際に「不安定すぎるから就職しないとダメだ」と思った時期もあったと言います。しかし——。

「結構稼いだ時に、『お金ってそんなにいらないな』って気付いたんです。私は求める生活のラインがすごく低くて、たくさんお金を稼ぐよりも『嫌なことを我慢してまではやりたくない』という気持ちのほうが強いんです」

自分にはそれほどお金が必要ないと分かった時、かとゆりさんのはたらき方に対する考えは大きく変わりました。

「インフルエンサーの仕事は相変わらずめちゃくちゃ不安定です、やばいぐらい。でも今は、お金主義じゃなくて、楽しいことをやっていこうって思ってます。仕事を仕事と思わないこと。それが私が一番大事にしてることです。後からお金がついてくるのが理想ですね」

「やりたいことがわからない」と悩む人へ

キャリアに悩む多くの人が「本当にやりたいこと」を模索する中、かとゆりさんは逆の発想を持っています。

「私も、やりたいことなんてなかったですよ。それよりも、やりたくないことと向き合って、『やりたくないことはやりたくない』という気持ちのほうを大事にしてきました」

実際に、かとゆりさんは「やりたくないこと」を明確に挙げています。単純作業、パソコンのデスクワーク、説教されること。特に「期日までにこれを考えてください」とすべて詳細に決められているようなはたらき方は苦手で、思いついたことを自由にやりたいと語ります。

「たとえば、人と喋るのが本当にストレスで会社に行けなくなっちゃう人もいると思います。でも、人と喋らない仕事もいっぱいあるので、自分を犠牲にしないでほしいですね。はたらき方はいろいろあるから、一つだけに執着しなくてもいいんじゃないかな」

最後に、はたらくことにモヤモヤを抱える若者に向けて、飾らない言葉でアドバイスを贈ります。

「夢とか目標がなくても大丈夫だと思うんです。私も3カ月後の目標だけ決めて、状況が変わったら軌道修正する、くらいの感覚です。それでも意外となんとかなります。人って案外死なないので。大事なのは『やりたくないことを避けて生きていく』こと。お金を稼ぐよりも、幸福度高く生きるほうが難しいじゃないですか。だからやりたくないことと向き合って、そこを避けて生きることを大事にするのも選択の一つだと思います」

※今回お伝えし切れなかったフルバージョンの動画はYouTube『スタジオパーソル』にて公開中

(「スタジオパーソル」編集部/文:間宮まさかず 編集:いしかわゆき、おのまり)

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ライター/作家間宮まさかず
1986年生まれ、2児の父、京都在住のライター・作家。同志社大学文学部卒。家族時間を大切にするため、脱サラしてフリーランスになる。最近の趣味は朝抹茶、娘とXGの推し活、息子と銭湯めぐり。
著書/しあわせな家族時間のための「親子の書く習慣」(Kindle新着24部門1位)

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