高卒バイト→22歳でCoCo壱FC社長。年商22億・従業員450名で葛藤「指摘ばかりで、人の良さが見えなくなった」
スタジオパーソルが運営するYouTubeでは、さまざまな業界ではたらく人の1日に密着し、仕事の裏側と本音を掘り下げる『晩酌まで1日密着』シリーズをお届けしています。
今回密着したのは、『CoCo壱番屋』と『ラーメン大戦争』のフランチャイズ店舗を運営する株式会社スカイスクレイパーの代表取締役社長・諸沢莉乃さんです。
高校時代に『CoCo壱番屋』でアルバイトを始めた諸沢さんは、22歳で社長に就任。現在も店頭に立ちながら、週次ミーティングや社員育成、商品クオリティのチェックなど、日々の店舗運営を自らの目で確かめています。
現場主義の経営者として、仕事にまっすぐ向き合う諸沢さんの言葉には、情熱を持って“はたらく”を楽しむためのヒントが詰まっていました。
オフィスでミーティングを終え現場へ。「CoCo壱FC社長」の1日

年商22億円、従業員450名超を抱え、『CoCo壱番屋』と『ラーメン大戦争』をフランチャイズ経営する株式会社スカイスクレイパー。そこで代表取締役社長を務めるのは、現在24歳という若さの諸沢莉乃さんです。諸沢さんは高校生のときに『CoCo壱番屋』でアルバイトを始め、22歳で社長に抜擢されました。
朝8時50分には経営チームとの週次ミーティングがスタート。テキパキと会議を進行していく彼女の姿は堂々としているように見えますが、ミーティング終了後には「最初は言うことを全部カンペに書いて読んでいました」と笑いながら明かしてくれました。

ミーティングを終えた諸沢さんが次に向かったのは、CoCo壱番屋の店舗です。店内に入った諸沢さんは、スタッフに「最近どう?」と気さくに声をかけていきます。
「一緒にはたらく人たちが今日元気かどうか、しっかり自分で確認することを大事にしています。やっぱりお店の空気は人がつくるものなので、必ず1人ひとりに声をかけています」
この日、諸沢さんは3店舗を巡回。制服に着替え、スタッフの一員としてホール・厨房と柔軟に行き来しながら、新卒社員へのOJT(現場指導)や商品のクオリティチェックなど、現場を隅々まで確認していきます。
「盛り付けやお皿のロゴの向きまで、必ずお客さまの正面に対してまっすぐ揃うように徹底しています。ほかにも、『お皿の温度は40度以上』という社内の規定があるんですが、私がお客さまへ提供するときにぬるいお皿だったらつくり直してもらいます。私のチェックは厳しいと思いますよ(笑)。でも、これが“一食入魂”です」
接客中、タッチパネルでの注文に戸惑う年配のお客さまがいると、諸沢さんは膝をついて目線を合わせ、一緒に操作を手伝います。

「お客さまに呼ばれる前に気付いて手を差し伸べる。それが“思いやり”だと思っているので、困りごとを見逃さないように常にキョロキョロと店内を見回しています」
「ニコニコ・キビキビ・ハキハキ」という『CoCo壱番屋』のモットーを、現場の最前線で実践する諸沢さん。アルバイト時代に身につけた基本を大切にする姿勢は、社長となった今の彼女の根幹を成しています。
「アルバイトが青春だった」諸沢さんの“現場主義”の原点
高校時代、諸沢さんがCoCo壱番屋でアルバイトを始めたのは、たまたま自宅のポストに求人のチラシが入っていたからでした。特別カレーが好きだったわけではなく、ただ、そのチラシが目に留まった。この偶然が諸沢さんの人生を大きく変えました。

部活動には入らず、放課後は毎日CoCo壱番屋ではたらく日々。友人たちが部活に打ち込む中、諸沢さんは「はたらくこと」を選んだのです。
「調理ができるようになった、接客が上手くなった。そんなふうに、できることが増えていくのがうれしかった。学校で嫌なことがあっても、同年代の子たちと一緒にはたらくその時間が楽しくて。私にとってはこの場所が青春でした」
諸沢さんにとって、CoCo壱番屋は単なるアルバイト先ではなく、成長を実感できる「居場所」だったのです。

そんな諸沢さんの姿を当時から見ていた現在の会長は、高校生だった彼女の姿をこう振り返ります。
「“誰に”会社を継がせるか、というよりも、“どんな人に”社長をやってもらいたいかを考えていました。素直な人、うちの会社が好きな人、ぼくの考えに共感してくれる人、そして、へこまない人。それを考えたときにパッと思い浮かんだのが彼女でした」
アルバイト時代から一つひとつの仕事と真摯に向き合い、常に成長を求めていた諸沢さん。何より、仕事を心から楽しんでいる姿が会長の目に留まっていたのです。
「怖くて眠れない日も」就任するまでは分からなかった“社長の重圧”
社長就任を打診されたとき、諸沢さんに迷いはありませんでした。
「悩まなかったですね。すぐに『やります』と答えました。そのときは、社長になったほうが、より多くの人のためになると思ったんです」

しかし、アルバイトからスタートした当時の諸沢さんには、経営や経理の知識はありません。社長という仕事がどんなものか、就任当初はまったく分からず、1年半ほど経った今、ようやく「0.1%くらい分かったかな」という感覚だと諸沢さんは言います。
さらに、社長になったからこそ感じるプレッシャーもありました。「社長だから指摘しなきゃ」と、社員の悪いところを見つけて指摘することが仕事だと思い込んでいた時期があったと言います。
「でもできていないことばかりに目を向けていると、人の良いところが見えなくなるんですよね。自分のことが嫌になった時期もあります。『これって私のやりたかったことなのかな?』と」
感情の波が大きかった社長1年目。「あ、これでいいのかも」と思った次の日には「違う、これじゃダメだ」と頭を抱える。そんな日々を経て、諸沢さんは気付いたことがあります。
「改善点を見つけたときは素直に伝える。同時に『素敵だな』と思ったことも素直に褒める。その両方が大事なんだと気付きました」

社長としての責任の重さを実感したのは、新店舗がオープンしたときのこと。あるパートさんが涙ぐみながら「スカイスクレイパーとして初めてお給料をもらいました」と言ってくれたのです。
「そのとき、あらためて『絶対にお給料を払えないようなことはあってはいけない』と感じました。社員やパートさんの中には、ご家族がいる方もたくさんいます。私にはその家族の人生をも背負っている責任がある」
450人の従業員とその家族の生活を支えるという責任の重さを、夜も眠れないほど実感する一方で、諸沢さんには社長になったからこそ感じられるようになった喜びもあります。
「一緒に現場に入って伝えた言葉を覚えてくれていて、『あの言葉のおかげで成長できました』と言ってもらえると本当にうれしいです。昔は『自分でやったほうが早いのでは』と思っていたけれど、今は“人が育つこと”が自分の喜びになりました。それが“はたらきがい”ですね」
「やりたいことがない」と悩む人へ

現場に立ち、素直さを力に変えてはたらく諸沢さん。今はたらくことにモヤモヤしている若者へのアドバイスを聞きました。
「周りの大人に聞くことですね。『今こういうことで悩んでいるんですけれど、〇〇さんならどうしますか?』と。自分の尊敬する人に聞いてみるのが本当に大事です」
期待を背負って22歳で社長に抜擢され、その責任の大きさに悩んで落ち込んだ時期があるという諸沢さんですが、見栄や恥ずかしさよりも、素直に相談することのほうが大切だと語ります。
「プライドって邪魔なんです。恥ずかしいのは最初だけ。人に聞かずにいるとあとで絶対に後悔します。“聞く勇気”を持てば、人生は本当に変わる」

「自分で考えても分からないことは、いくら悩んでも分かりません。だから私もいろいろな人に相談します。親や祖父母、アルバイト先の先輩、後輩など、誰でもいいんです。いろいろな視点にふれて、その中で自分に響く答えを見つける。それが大事だと思います」
最後に諸沢さんは、やりたいことがなくてモヤモヤしている人へ、こうメッセージを送りました。
「目の前に降ってきたことに全力で取り組んでみてください。手を抜かず、断らず、まずは『やります』と言ってそのチャンスを掴むこと。今できることを、まずは全力でやってみる。その積み重ねが、少しずつ自分を変えていきます。私にとって、それが“はたらく”ことです」
(「スタジオパーソル」編集部/文:間宮まさかず 編集:いしかわゆき、おのまり)
※ この記事は「グッ!」済みです。もう一度押すと解除されます。
あなたにおすすめの記事
同じ特集の記事
著書/しあわせな家族時間のための「親子の書く習慣」(Kindle新着24部門1位)
人気記事
著書/しあわせな家族時間のための「親子の書く習慣」(Kindle新着24部門1位)











