「年収1億でも足りない」元銀行員が“モテコンサル”に転身「優秀だけどモテない理系男子」を救いたい理由

2026年1月16日

スタジオパーソルでは「はたらくを、もっと自分らしく。」をモットーに、さまざまなコンテンツをお届けしています。
メガバンクの法人融資部門で不動産ファイナンスを手掛けたエリート銀行員からモテコンサルタントになり、今は結婚相談所ナレソメの代表を務める勝倉千尋さん。元広島県安芸高田市長の石丸伸二さんと恋愛・結婚をテーマに対談するなど、メディアでも注目されています。
勝倉さんの人気に火が付いたきっかけは、メガバンクで培った「リソース効率」「バリューアップ」の考え方を恋愛市場に生かしたことだそうです。
そんな勝倉さんが語る、“おもしろさを感じられる場所で自分らしくはたらく”のヒントとは。

銀行員から「モテコンサル」へ。安定より効率を選んだ

──安定したメガバンクから「モテコンサル」に至ったのはなぜですか?

「とりあえず大手に」とメガバンクに入ったんですが、自分の能力や適性を鑑みて「取締役になるのは難しそうだし、特別おもしろいとも感じないし、このまま定年まではたらくのは違うな」と感じたんです。年収は2,000〜3,000万円くらいが天井だから、運よく出世できたとしても一生我慢しなきゃいけない気がして、どこかで仕事を変えようと思っていました。

──えっ、2,000〜3,000万円でも足りないですか?

欲望が強いんでしょうね。基本的に、いいものって高いじゃないですか。自分のやりたいことや欲しいものを考えると、全然足りない。他社のマネージャー層で年収1億円くらいの人もいましたが、昇進が遅いし、1億円じゃ足りない。会社員だと自分が望む生活が叶えられないです。

──1億円は難しいですね。お金の必要性を強く感じたのはいつごろですか?

小学校の林間学校です。親が高級志向だったわけでもなく、ごく普通の中流家庭でしたけど、泊まった民宿がすごく古くて「なんでここで寝なきゃいけないの?」と思って。昔から環境へのこだわりが強いタイプでした。

──理想の環境を叶えるために、しっかり稼ごうと思ったんですね。

自分で稼ぐしかないですよね。専業主婦になったとして、私が欲しいものを全部用意してくれる男性はいない。運よくマッチングしても、それだけお金を出してもらうとなると、基本的には相手に従わなきゃいけない。それも嫌だったので、モテコンサルタントとして独立しました。

「優秀だけど恋愛できない男性」を恋愛市場に還元したかった

──独立前からTwitterでモテコンサルタントとして恋愛相談を受けていらっしゃったんですよね。なぜ恋愛相談を始めたんですか?

当時Twitterで仮想通貨の情報収集をしていたら「優秀だけどまったくモテない男性」がたくさんいたんですよ。それで彼らに対する恋愛相談を始めてみたら反応が良くて「モテたいけど、どうすればいいか分からない」という男性のニーズを感じましたね。

――どうしてそのニーズを叶えたいと思ったんでしょうか。

頭が良く、稼いでいる理系男性の価値が自由恋愛市場の中で埋もれてしまっているのが、すごくもったいないと思ったんです。リソースが余っていて活用されていないのは、個人にとっても、社会にとっても損失だなと。

――すごく合理的な考え方ですね!

銀行で不動産のバリューアップ案件を担当していたので「対象物に手を入れて価値を上げる」という発想が自分の中にあって。恋愛難民の男性に対しても“効率的に価値を高める仕組みをつくる”という感覚でかかわるようになりました。

3作目の本『1年で決める!アラサー女の婚活戦略マニュアル』(実業之日本社)

──勝倉さんの恋愛相談は好評で、書籍化にも至りました。なぜ人気が集まったと思いますか?

うまく市場のすき間を突けたんですよね。当時のTwitterは、恋愛指導と言うとナンパ系アカウントしかなかったんですけど「ナンパせず恋愛したい人」のほうが多いじゃないですか。そういう層に対して理論的に恋愛指導できる恋愛コンサルティングサービスが全然なくて、自分の興味関心と適性、そしてニーズがミラクルマッチした感覚がありました。

──それから「結婚相談所ナレソメ」を立ち上げた経緯を教えてください。

モテコンサルはスポット的なかかわりなので、クライアントが最終的にどうなったかを追いにくかったんです。せっかくアドバイスしても「出会いがない」という人が多く、手元のリストでマッチングするにしても規模が小さすぎました。
そんなとき、代表の宇波から「結婚相談所を一緒にやらない?」と声をかけられて。「結婚相談所なら恋愛相談だけでは解消できない課題を全部カバーできる」と思って始めました。

――恋愛から出会い、そして結婚までサポートする体制を整えたんですね。

結婚相談所ってシステムとしてめちゃくちゃ合理的で、成果も出やすいんですよ。実際、モテコンサルのお客さまにナレソメに入ってもらったら、ものすごく人気になったんです。その方が「マッチングアプリで全然ダメだったのに、こんないいサービスあるんですね!」ってTwitterにポストしたら、一気に拡散されました。世間の結婚・恋愛ニーズを正しく捉えられたので、創業した2017年からずっと黒字です。

結婚式翌日に絶望。25歳での離婚を経て、ビジョン式婚活指導者に

──勝倉さんは銀行員時代に25歳で結婚、そして離婚を経験されていますよね。

昔から目的に対して最短距離で行くタイプなので、比較的真面目なマッチングアプリで出会って、すぐに結婚しました。出会ってから離婚まで、トータルで1年半くらいじゃないですかね。そこで気付いたのは「結婚できればいいってもんじゃない」ってことです。

――結婚がゴールじゃない、ということでしょうか。

そうです。結婚は簡単にできるけど、その後50年近い日常が続きます。長い道のりをともに歩めるかを考えると、ノリや勢い、ときめきだけでは決められない。でもそのころは、結婚すること自体が目的だったんだと思いますね。
恵比寿のジョエル・ロブションでキラキラの結婚式を挙げたのに、翌朝茫然としたのを覚えています。「この人と今後生きていくんだ」と思った瞬間、すごく絶望してしまって。

──どうしてそう感じたのでしょうか?

相手は何も悪くなく、普通にいい人でした。ただ、自分が何を求めているのか分からないまま「いい人だから」で結婚してしまって。私は真っ向から意見を交わせるような関係を求めていたから、ミスマッチだったんですよね。自分が本当に望む将来とズレた相手を選んで、安易に“結婚”というコミットメントをしてしまうことが、お互いにとってどれほど不幸なことかを痛感しました。

――なるほど……その経験は、結婚相談所の運営にも生きていますか?

そうですね。ナレソメが成婚率80%以上という高い成果を出せているのは「50年続く幸せな結婚生活」というライフデザインをゴールに設定しているからです。
会員の方には「求めるビジョンは何か」をクリアにしてもらい、心理診断などで自認と実態のズレをなくして、正しい自己理解を徹底します。特に、今まで努力して自分の道を勝ち取ってきたハイスペック層は、こういう自己成長と成果をセットにした婚活を好みますね。

「変化が怖い」は幻想。キャリアも恋愛も“自分次第”な時代へ

──銀行時代は仕事がおもしろくなかったと仰っていましたが、恋愛・婚活の仕事にハマった理由はなんですか?

“人”そのものが好きなんでしょうね。小さいころから、『世界の偉人伝』の漫画シリーズを親にねだって買ってもらうくらい好きでした。異性への興味関心も強くて、スポーツができるAくんと、文系で頭のいいBくんの両方が好きだったんです。幼稚園生ながら、婚活女子みたいな勢いでした。

──勝倉さんは再婚後、小さいお子さんを育てながら、経営や結婚相談、メディア出演まで幅広く活躍されています。キャリアと結婚を両立する上で大事なことはありますか?

よく「結婚でキャリアが阻害される」と言いますけど、そんなことはないです。生物的に惹かれるハイスペ男性ばかりを追いかけて、自分の人生設計を考えていないから、どちらかを犠牲にせざるを得ない状況になるんですよ。
仕事を頑張りたいなら、協力的な人、家事育児を分担してくれる人を選べばいい。どんなパートナーが人生設計に合っているか、冷静に考えれば両立できます。選択肢があるのに、それを選ばずに文句を言うのは努力不足だと思います。

──会社員から独立、そして経営者へとステップアップしてきた勝倉さんですが、最後に「変化が怖い」という人にアドバイスをいただけますか。

今の日本は圧倒的に“労働者が強い市場”ですよね。人手不足で、労働者は保護されている。だから、一度キャリアチェンジに失敗しても全然大丈夫だと思います。スキルがあればどこでもはたらけるし、うまくいかなくてもやり直せる。大げさに考えすぎず、チャレンジしてみてもいいのではないでしょうか。

「スタジオパーソル」編集部/取材・文:秋カヲリ

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エッセイスト・心理カウンセラー秋カヲリ
1990年生まれ。ADHD、パンセクシャル、一児の母。恋愛依存や産後うつなどを経験し、現在は女性の葛藤をテーマにしたコラムを中心に執筆。求人広告→化粧品広告→社史制作→フリー。2018年にYouTuberメディア『スター研究所』を公開、2021年に『57人のおひめさま 一問一答カウンセリング 迷えるアナタのお悩み相談室』を出版。

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