小5で特許取得、15歳の社長。”週3通学”で会社経営するスーパー中学生・水野舞さん「下校後に会議2件」

2026年3月6日

スタジオパーソルが運営するYouTubeでは、さまざまな業界ではたらく人の1日に密着し、仕事の裏側と本音を掘り下げる『晩酌まで1日密着』シリーズをお届けしています。

今回密着したのは、株式会社マイヤリングスの代表取締役社長 水野舞さん。現在15歳の中学3年生です。小学2年生で発明した耳につけないアクセサリー「マイヤリング®」の特許を取得し、小学6年生で会社を設立しました。

一見すると特別な存在のようにも思える水野さん。しかし、その裏には“普通でいること”への憧れと孤独、そして中学生経営者だからこその葛藤がありました。「自分にできること」を探し続けた彼女の言葉には、周囲と違う道を選ぶ勇気や、自分の軸を見つけるヒントが詰まっています。

※本記事はYouTube『スタジオパーソル』の動画一部を抜粋・編集してお届けします

週3通学しながら事業を続ける「15歳社長」の日常とは?

株式会社マイヤリングスの代表取締役社長である水野舞さんは、15歳の中学3年生です。小学2年生で発明した、穴を開けたヘアピンに装飾パーツを通したアクセサリー「マイヤリング®」の特許を取得し、小学6年生で起業。現在は週3日をN中等部での学校生活に、週4日を社長業に費やしています。

そんな水野さんの一日は、朝の登校準備から始まります。N中等部ではすべての教材がパソコンに入っているため、重い教科書を詰め込んだカバンは不要です。私服にパソコン一つ、軽くメイクをして家を出る姿は、N中等部ならではの光景です。

N中等部のキャンパスの雰囲気は一般的な中学校とは少し違います。シェアオフィスのような空間に同級生が集まり、各自がパソコンでオンライン授業を受けるN中等部は、会社活動との両立を理解してくれる学校として水野さんが選んだ場所です。

友人たちと昼食を食べたあと、「今日は会議が立て込んでいる」と早めに下校した水野さん。ここから彼女の顔は、学生から社長に切り替わります。

自宅に戻ると、まずはマイヤリング®の制作が始まりました。部屋の一画に設けた作業スペースで新作の制作がスタート。ヘアピンに穴を開け、チャームという装飾具をつけていきます。

続いて取引先との打ち合わせが2件。試作品の確認やSNSでの反響の共有、今後の展開について話し合います。取引先企業の担当者からは、「本当に中学生とは思えないくらいしっかりしている」「私の娘くらいの年齢ですが、とても尊敬している」との声も。

週末には、Jリーグのプロサッカーチーム・名古屋グランパスとのコラボ商品の販売イベントに参加。店頭で接客を行いながら、お客さまに「マイヤリング®」のつけ方を直接説明していました。

「自分が作ったものが人の手に渡るとうれしいです。作って良かったと思えるし、自分のアイデアが受け入れられた気持ちになれるんです」

会社を設立して3年。学校に通いながら取引先との打ち合わせをこなし、週末にはイベント販売に立つ。学生と経営者という二つの顔を持つ15歳の日常がそこにありました。

普通にあこがれる日々。「できないこと」が自分だけのアイデアを育ててくれた

水野さんはなぜ、小学6年生で起業という“人とは違う道”を選んだのでしょうか。その原点は、幼いころの経験にありました。

4歳のとき、水野さんは肝臓の移植手術を受けています。ドナーは母親。手術は成功したものの、その後の生活には多くの制限がつきまといました。

移植した臓器が体に定着するか、拒絶反応は起きないか。そうした経過を見守りながら、毎日のように薬を飲む日々。ドッジボールや鬼ごっこなど、お腹に衝撃が加わるような遊びは小学校低学年まで禁止され、友達と同じように外を駆け回ることもできませんでした。

「みんなが当たり前にできることが私にはできない。だから、自分にできることを探そうと思って生きてきました」

制限のある生活を送ってきた彼女にとって、友達と同じように遊んで過ごす“普通の日常”は、特別なあこがれの対象だったのです。ベッドの上で過ごす時間が長かった幼少期、水野さんは手を動かすことに没頭しました。病室でも、自宅でも、ものづくりに熱中する日々。それは制限のある自分にもできる、数少ない楽しみでした。

そんな水野さんに大きな転機が訪れたのは、小学2年生のとき。母親がつけているキラキラとしたピアスに憧れた水野さんは、ある想いを抱きます。

「母がピアスをつけている姿がすごく素敵で、私もつけてみたいなって。でも耳に穴を開けるのは怖いし、できない。それなら、穴を開けなくてもピアスみたいに見えるものを作ることができたら、私も母みたいになれるんじゃないかと思ったんです」

あこがれの気持ちが探求心に変わった瞬間でした。試行錯誤を重ね、ヘアピンに穴を開けてチャームをつけるアイデアを思いつきます。それが、髪や帽子につけることで、ピアスのように見せることができるアクセサリーでした。

そして小学4年生のとき、父親のすすめでマイヤリング®で特許出願に挑戦し、見事取得。自分のアイデアが「知的財産」として認められたことが、次の一歩を踏み出すきっかけとなります。

「国内で特許を取ったことで、マイヤリング®をより多くの方に届けたいという気持ちが強くなりました。両親や周りの大人も『会社を立ち上げてみては?』と背中を押してくれて。小学生で会社を設立なんて面白そうだなと、ほぼ勢いで起業しました」

「子どもの趣味でしょ」と言われ。起業したからこそ知った、はたらくことの現実

こうして小学6年生で起業した水野さん。しかし、経営者としての自覚や、はたらくことの責任の重さを実感したのは、中学生になってからでした。進学した地元の公立中学校で、最初の壁にぶつかります。

「週5日学校に通いながら社長業を両立するのは、想像以上に大変で。このままでは会社を潰してしまうかもしれないと感じました」

悩んだ末、水野さんは中学2年生からN中等部にに通います。週3日の通学で、残りの日は会社活動に専念できる環境。学業と経営の両立をあきらめるのではなく、自分なりの最善策を選んだのです。

もちろん、葛藤がなかったわけではありません。体育祭や文化祭で友達が盛り上がる様子を見て、「いいな」と思うこともありましたが、「最近は青春ドラマや映画を見るだけで満足するようになった」と笑います。

こうして経営者としての階段を上る中で、小学生で起業したからこその苦労にも直面しました。取引先との打ち合わせで、相手が明らかに「子ども扱い」のトーンで話しかけてくることがあったのです。

「最初は『子どもが趣味でやっている程度のものだろう』と思われることが多かったですね。でも、入念に準備し、打ち合わせではきちんと伝わる事業のプレゼンをしていくと、だんだん相手の発言に敬語が混じってきたり、社会人として対等に話してもらえたりする機会も増えてきて。そういう瞬間にも喜びを感じます」

起業にはシビアな現実もあります。特許取得や商標登録には多額の費用がかかりましたが、小学生だった水野さんにはその資金はありませんでした。父親から借りた金額は「三桁万円弱くらい」。事業を進める中で新たな特許や商標を出願・取得するたびに、その費用も父親に支払ってもらい、借り入れ額は増えていきます。

「何にいくらかかっているのかは把握していて、マイヤリング®の売り上げから少しずつ返済しています。はたらくことは決して甘くない。お金の重みを知れたので、とてもいい経験になっていると思います」

起業しなければ得られなかった多くの学びと向き合いながらも、水野さんは明確な目標を持ち続けています。

「マイヤリング®を、ピアス、イヤリングに続く第3のアクセサリーにしたい。それが私の一番の目標です」

そしてもう一つ、大きな夢があります。それは「i育(あいいく)事業」というプロジェクトです。

「アイデア(idea)を形にする教育。それを『i育』と名付けました。私のマイヤリング®のように、子どもたちのアイデアを特許や会社という形で残すサポートをしたいです」

かつて自分が周りの大人に背中を押されたように、今度は自分が誰かを支える側に立ちたい。15歳の水野さんは、確かな目標を持って今日も前に進んでいます。

「何がしたいか分からない」人へ

幼少期の病気で“普通でいること”にあこがれ、母のピアスに惹かれ、さまざまな「できない」の中からマイヤリング®を生み出し起業した水野さん。「できないこと」を可能性に変えてきた水野さんに、若者へのメッセージを伺いました。

「若いうちはチャレンジが何度でもできるので、失敗を恐れずに挑戦していいと思うんです。そして、自分一人で完璧にやろうとしなくていい。素直に周りの力を借りることも大切です。自分の力で生きていきたいという気持ちは大切ですが、実際には誰もが周りに支えられて生きていると思うので」

最後に水野さんは、モヤモヤを抱える若者が自分らしく、楽しくはたらくためのアドバイスをこう語ります。

「はたらく以外の視点から、はたらくを考えるといいと思います。『どの仕事をしたいか』よりも、『自分は最終的にどうなりたいのか』『何をしたいのか』を考えてみるんです。私の場合は、ものづくりが好きで、自分のアクセサリーを作りたいという気持ちが出発点でした。それを多くの人に届けたいと思ったから、起業という方法を選びました。自分が好きなことや大切にしたいことを軸に考えれば、どう生きたいか、どうはたらきたいかが自然と見えてくると思います」

※今回お伝えしきれなかったフルバージョンの動画はYouTube『スタジオパーソル』にて公開中

(「スタジオパーソル」編集部/文:間宮まさかず 編集:いしかわゆき、おのまり)

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ライター/作家間宮まさかず
1986年生まれ、2児の父、京都在住のライター・作家。同志社大学文学部卒。家族時間を大切にするため、脱サラしてフリーランスになる。最近の趣味は朝抹茶、娘とXGの推し活、息子と銭湯めぐり。
著書/しあわせな家族時間のための「親子の書く習慣」(Kindle新着24部門1位)

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