23歳Adoの歌い手人生。クローゼットで録音していた内気な少女→『うっせぇわ』から世界33都市・50万人ツアーまで

2026年3月25日

スタジオパーソルでは、「はたらくを、もっと自分らしく。」をモットーに、さまざまなコンテンツをお届けしています。

今回お話を聞いたのは、歌い手のAdoさんです。2020年『うっせぇわ』でメジャーデビューすると、その圧倒的な歌唱力で瞬く間に注目を集め、YouTube公式チャンネルにおけるミュージックビデオの再生回数は4億回(2026年2月時点)を達成しました。現在23歳にして2度のワールドツアーを成功させるなど、日本の音楽業界に大きな旋風を巻き起こしています。

デビュー前はクローゼットの中で自分の歌を録音していた彼女が、どのようにプロとしてスターへの階段を駆け上がってきたのか。歌い手としてのこれまでの歩みとともに、「大人になること」や「夢をかなえること」への考え方をお話しいただきました。

クローゼットの中で録音していた少女がつかんだメジャーデビューの夢

Adoさんが歌い手になることを夢見たのは小学5,6年生の頃。学校では目立つタイプではなく「内気な子」というポジション。だからこそ、顔も本名も出さずに活動できる歌い手は「自分にも何かできることがある」と思わせてくれる存在だったと言います。中学生に上がってからは本格的な録音機材を使って、自宅のクローゼットで自分の歌を録音しインターネットに投稿するなど、歌い手としての歩みを進めていました。

活動を続け、少しずつ“ファン”と呼べる存在が増えていった10代半ば。一方で、年齢が上がるにつれて、これからどう生きていくのか、将来への不安も感じるようになったと言います。

「当時は『早く大人になりたい』と願っていました。社会に出てはたらくことにあこがれもありました。でも同時に、はたらくためだけに生きるのは違うなとも思っていて。明確な目的もなく社会に出てしまうと、自分を見失ってしまうんじゃないかと。矛盾するようですが、自立したかっこいい大人にはなりたいけど、大人になるのが怖い気持ちもありました」

そんな中で、「高校生のうちに爪痕を残してデビューしたい」という強い想いを抱き、大きな決断をします。自身のYouTubeライブに集まった200人の視聴者の前で、「高校生のうちに、あこがれの歌い手のライブ会場と同じ『Zepp DiverCity』でワンマンライブをする」と宣言したのです。

残念ながら宣言した翌年にはコロナ禍に入ったこともあり、このライブが実現することはなかったものの、2020年10月23日、17歳最後の日にメジャーデビューが決まります。

2度のワールドツアーを成功させても変わらない「誰かの人生の脇役でありたい」という想い

デビュー曲『うっせぇわ』は国内外で数々のチャートにランクインし、2021年の「ユーキャン新語・流行語大賞」に「うっせぇわ」が選出されるなど、社会現象を巻き起こすほどの大ヒットを記録しました。周囲を取り巻く環境が猛スピードで変わっていく中で、「メジャーデビューしても私は私だ」と言い聞かせながら、絶えずヒットを生み出すべく、2カ月に1度のハイペースで新曲をリリースし続けます。

そして2022年4月には、高校生のときに宣言し念願だった「Zepp DiverCity」で初のワンマンライブを実施。ステージでは、一人で歌っているときにはなかった「熱気と圧」を感じたと言います。

その後、「さいたまスーパーアリーナ」でのワンマンライブ、全国アリーナツアーを経て2024年、21歳で初の世界ツアーを開催。女性ソロアーティストとして初の「国立競技場」でのライブも経験し、2025年には日本人アーティスト最大規模となるワールドツアーで、世界33都市・50万人を動員するなど世界的なスターへの道を着実に駆け上がってきました。

しかし、ワールドツアーを経た今もなお、「誰かの人生の脇役でありたい」という想いは変わらないと話します。

「“Ado”という名前は、狂言の“アド(脇役)”から名付けています。私はリスナーの人生の脇役として、皆さんの人生を支え、皆さんを幸せな方向へ導く存在でありたいなと思っています。ワールドツアーで世界中のリスナーと感動を分かち合う過程で、あらためてそう実感する瞬間が何度もあったからこそ、今後も“Ado”のスタンスは変えずにいたいです」

大人とは、自分の足でちゃんと立って、颯爽と堂々と歩ける人

2026年2月26日には初の自伝的小説『ビバリウム Adoと私』(原作:Ado、著者:小松成美、KADOKAWA)を刊行し、あらためて自身の人生を振り返ることとなりました。

「私は小さいころから伝記が好きで、ヘレン・ケラーやココ・シャネルなどさまざまな人の生き方に影響を受けて育ってきました。自分が伝記の登場人物側になったという表現が合っているのかは分かりませんが、自分の半生をもとにした小説が出るのは面白く感じます。

大人になった今だからこそ『あのとき本当はこう感じていたんだな』と、当時は無視してしまっていた気持ちにあらためて向き合えて。これまでの人生は今の私自身を形成する大事な時間だったと思える瞬間がたくさんありました」

小説では、いつもピンク色の服をまとって“プリンセス”のように溺愛されていた幼少期から、早く大人になりたいと願いつつも、大人になるのが怖いとも感じながらすごしていた10代。そしてメジャーデビュー後から今に至るまで、Adoさんがこれまで見て、感じてきた光景が鮮明に描かれています。23歳で自身も大人となったAdoさんは今、かつて葛藤していた“大人”という存在について、どう感じているのでしょうか。

「私が10代のころに思い描いていた大人とは、なんでもこなせて、自分の足でちゃんと立って、颯爽と堂々と歩ける存在。まだ100%そうなれているとは言い切れませんが、紆余曲折しながらも少しずつ理想に近づけているのかなと思います」

「人の願いに年齢制限はない」

小説と連動して、2026年2月18日に、自身が作詞・作曲を務める新曲『ビバリウム』をリリースしました。タイトルの「ビバリウム」とは、動植物を育てるための「箱庭」のような空間を意味する言葉で、Adoさんが名付けました。

クローゼットの中にいるAdo本人の後ろ姿を写した、自身初となる実写のジャケット写真

「歌い手や『ニコニコ動画』など好きなものに囲まれた空間に閉じこもってすごしてきた子ども時代。その様子を客観的に見たら『ビバリウムにいるみたい』と感じました」

かつて、孤独なビバリウムに閉じこもっていた少女は、今ビバリウムの中にいるかもしれない“誰か”に向けてこう語りかけます。

「外の世界に、目を背けたいものや怖いものがあるなら、無理をしてそこから出てくる必要はないと思います。でも、もし自分の内に『変わりたい』という希望や“ともしび”が、小さくても輝いているのなら、その気持ちを抑えずに、ときどきでいいので自分の心と対話して、向き合ってもらえたら、外の光と少し重ねてみたり、ビバリウムの中の景色もいい意味でちょっと変わるんじゃないかと思います」

インターネットを通じた個人の発信が当たり前となった今、世界中の人に“歌い手”として歌声を届ける夢をかなえたAdoさんの歩みは、多くの若者に勇気と希望を与えています。最後に、Adoさんが考える「夢のかなえ方」についてお話しいただきました。

「私は小さいころから夢見がちな人間でした。ですが、信じて願っているだけじゃ何も変わらないということも学びました。苦しくてもちゃんと進むことが何より大事なんだなと。進めば結果が出るかといわれたら、現実はなかなか難しいかもしれません。ですが、行動することで夢はつかみやすくなると思っています。

そして、その決断に年齢は関係ありません。かなえるのに年齢が関係する夢もあるかもしれませんが、人の願いそのものに年齢制限はないと思います。どんな世代であっても、自分が抱いた夢を信じて行動してほしいと思います」

(「スタジオパーソル」編集部/文:水元琴美  編集:いしかわゆき、おのまり 写真提供:ユニバーサルミュージック、KADOKAWA)

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ライター / 俳優水元琴美
「書く」×「演じる」の二刀流で「忙しない日々をちょっと豊かにする」をテーマに活動中。学生時代のメディアディレクターインターンシップをきっかけに “書く仕事” を始める。現在は主にインタビュー記事やコラムを中心に執筆。書く以外にも、写真撮影や映像出演など、さまざまな方法を通してコンテンツを世に届ける。映画、舞台、写真が好き。

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