ベストじゃない、でも心地いい。フルタイムではたらく看護師ママの仕事観

2021年12月7日

スタジオパーソル編集部が、世に発信されているさまざまな個人のはたらき方ストーリーの中から、気になる記事をピックアップ。
今回は、自分にとっての「はたらき方」について語る「#私らしいはたらき方」投稿コンテストで、審査員特別賞を受賞した記事をご紹介します。

執筆者は、看護師のakaneさん。育児しながらフルタイムではたらくakaneさんのはたらく原点は、シングルマザーのお母さんにあります。そんな「母の背中」と自分のはたらき方を重ね、はたらく親の気持ちをnoteに投稿しました。

よくはたらきよく遊ぶ、シングルマザーの母を見て

akaneさんは、看護師として約20年はたらくお母さん。産休と育休を経てフルタイムで復帰し、今も異動や転職を経ながらクリニックではたらいています。
そんなakaneさんのお母さんは、パワフルで元気なシングルマザーで、産後わずか1か月で仕事に復帰するほど仕事が好きだったそうで、はたらき方もとってもパワフルです。

午前中はスーパーでパートとして働き、お昼は一旦帰宅して家事や雑用、午後はピアノの先生、といった感じで何足ものわらじを履きこなし、その全てに対していきいきとポジティブに取り組んでいた。ちなみにスーパーのパートは今も続けている。数年前からはパート長として一部門を仕切っているらしい。

母の背中 より

お母さんがはたらいている間は母方の祖父母と過ごしていたそうで、遊んだり食べたりお風呂に入ったりしているうちに、仕事が終わったお母さんが迎えに来るという毎日。
「そんなに仕事漬けのお母さんだとさみしくなるのでは?」
と思うかもしれませんが、

のんびり家にいるってことができない人で、休みの日は必ず外に連れ出してくれた。おかげで日帰り圏内の主要な遊園地、公園、各種のイベントなどはあの時代、ほぼ制覇していたんじゃないかと思う。近場の旅行もよく行った。祖父母の助けがあるとはいえカネ問題は無視できなかっただろうし、そんなに贅沢なことはしていないけれど、とにかくよく子どもと出歩いてくれた母だった。

母の背中 より

というほどよく遊んでくれたため、さみしさを感じることはなかったそうです。

スーパーのアルバイト、ピアノの先生、さらには家事や雑用までしていたら休日はぐったりしてしまいそうなものですが、どれだけ忙しくても心を元気に保てるくらい仕事を楽しんでいたということでしょう。

そんなお母さんを見て

仕事って楽しそうだなあと思ったし、大人になったらああやって働きたいなあと自然に思った。

母の背中 より

というakaneさんは、一人でもしっかり稼げる資格職に就こうと看護師の道を選びました。

子どもにとって、一番身近な大人は家族です。
家族の背中を見て子どもながらに「はたらき方」をイメージし、自然と仕事観が育っていくのでしょう。

人の生死に関わる看護師はハードな仕事。
akaneさんは、特に難しいのが「感情のコントロール」だと言います。

仲良しの患者さんや年下の患者さんを看取ったりもするし、病気や怪我という人生のターニングポイントに関わるので、八つ当たりされたり怒鳴られたり、混乱状態の人に殴られることだってある。もちろん夜勤もあるし、肉体労働もあるし、身体的にも負担はあるけれど、自分のこころをブンブンと強制的に振りまわされる感じ、個人的にはこれが一番つらい、と感じる。

母の背中 より

しかし、意外にもakaneさんは夜勤が好きなタイプ。
ただでさえ看護師はハードなお仕事なのに、夜中にはたらくのが好きな理由は

夜は、人間がすこし変わる。

急に泣けてきたり、怒ったり、ハイになったり、太陽の下では隠れていた、その人の違う一面が顔を出すのが興味深かった。

母の背中 より

という部分にあります。
子育て中の現在は昼間しかはたらいていないものの、

子どもがもう少し大きくなったら、あの世界に戻ってみたい、と思うときがある。今の自分ならばもっとできることがあるかもしれないし、違う見方ができるかもしれない、それはちょっと興味がある。

母の背中 より

と感じているそう。
夜に違った一面を見せる患者さんにも、そんな患者さんに接する自分のはたらき方にも興味を持っているakaneさんは、はたらくなかで新しく見える景色に魅力を感じているのかもしれません。

ベストじゃない、でも悪くない。それも心地いいはたらき方

意欲的にはたらくakaneさんですが、男の子2人の母でもあり、まだまだ育児には手がかかります。
保育園にお迎えに行く時間を考えると、はたらく時間には限りがあり、

夜勤ができなくても、もう少し遅くまで働くことができたら仕事の選択肢が広がるんだけどなあ

母の背中 より

と転職サイトを見てため息をつくこともありました。

ただ、子どもの関係ではたらく条件が限られることに抵抗と寂しさを感じながらも

今ではこの生活も悪くない

母の背中 より

と思っているそう。
そう感じる理由は、はたらく軸が「仕事内容」や「条件」ではないからです。

仕事内容や条件は大事だけれど、この仕事の根本にあるのは目の前の人に誠実であること、だと思っている。優しくあること、と言い換えてもいい。どこで働こうとも、それは同じだ。

母の背中 より

目の前の人との向き合い方が、仕事においてもっとも大事なことだと考えているのです。

どんな仕事をするか、どれくらいお金をもらえるかといった部分にばかり気を取られがちですが、そこで接する人との向き合い方や自分の在り方次第で見える景色は変わってきます。

忙しい仕事でものんびりした仕事でも、得意な仕事でも不慣れな仕事でも、目の前の人が「ありがとう」と笑ってくれたら、はたらいている自分が好きになれたら、きっとやりがいや喜びが感じられるはず。

小さいころから前向きにはたらくお母さんの背中を見て、目の前の人や仕事に対してまっすぐに向き合う姿勢を持っているのかもしれません。

また、akaneさんは「悪くない」と感じるはたらき方を肯定しています。

今の職場や働き方がベストだとは思わない。ただ、悪くない。この、悪くない、程度の満足感が意外と心地良いのも事実だ。ベストなんてきっとそうそう見つからない。ただ、悪くない、で働いていくことができるなら、それはけっこうベストに近い気がする。

母の背中 より

本当は時間に縛られずにはたらいて、夜勤もしたい。
そんな願望を持っているakaneさんにとって、今のはたらき方が「ベスト」とは言えないかもしれません。
それでも「悪くない」と思ってはたらく日々への満足感と気持ちの余裕を持ち続け、「悪くない」はたらき方をひとまずは続けていくことができるのなら、いつか新しい選択肢が見つかる可能性もあります。

働く母の背中を、今度は私が子どもたちに見せる番。

母ちゃん、頑張るよ。見ていてね。

母の背中 より

と子どもたちへの気持ちを綴るakaneさんの背中は、きっとお母さんの背中と似ているはず。
遠くない未来、akaneさんのお子さんがまた力強い背中を見せてくれることでしょう。

akane(看護師)
アラフォーフルタイム勤務の母。毎日定時で退社し男児2名の世話に追われるただの人。起業してない、マーケティングするつもりもない、雑談です。たまにはそんなゆるいnoteがあってもいいじゃない。自分と、読んでくれる方がいるとすれば、その方の癒しのために書きます。癒し効果は一瞬です。

パーソルグループ×note 「#私らしいはたらき方」投稿コンテスト

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