コミュ障だった27歳のぼくが、見知らぬ外国人達と5時間バイトしただけで人生が激変した話。

2024年9月19日

スタジオパーソル編集部が、世に発信されているさまざまな個人のはたらき方ストーリーの中から、気になる記事をピックアップ。
今回は、とある日雇いバイトでの経験から、人と充実したコミュニケーションがとれるようになったエピソードをご紹介します。

もともと人見知りだった慶士さん。ある日、派遣されたバイト先での出会いで考え方が一変し、人との他愛ないやりとりを心から楽しいと思えるようになったそうです。価値観を変えたある一夜のできごとについてnoteに投稿しました。

※本記事の引用部分は、ご本人承諾のもと、投稿記事「異国の集団に5時間混ざり、性格が開花した27の夜」から抜粋したものです。

見渡す限り外国人!予期せぬ状況に慌てふためく

慶士さんはある晩、おしゃれなメキシコ料理店に日雇いスタッフとして派遣されました。

勤務先の様子など、詳細を聞かされていなかった慶士さんは、緊張と好奇心を募らせながら現場に足を踏み入れます。するとそこには予想外な光景が。なんと、オーナーを含めた自分以外のスタッフもお客さまも、ほとんど全員が外国人だったのです。

着替えを終え、ホールに出ると10人ほどのスタッフがいた。だが、全員外国人だった。
そして、客も外国人だらけだった。景色が異国すぎた。(今からここで働くのか、大丈夫かな)

「異国の集団に5時間混ざり、性格が開花した27の夜」より

はじめは異国のような環境に戸惑いを隠せなかったといいます。加えて、その日に割り振られた仕事内容は、まさかのホール業務。日本語が通じないシーンも多い中、お客さまから注文を受け、キッチン担当のスタッフに内容を漏れなく伝えなくてはなりません。

本来は人とのやりとりがさほど多くない、調理に集中できるキッチンスタッフとして働きたかった慶士さんですが、責任はまっとうしようと仕事に励むことに。
この日、具体的な作業内容を教えてくれたのは、黒髪の美しいマリアという女性。「お酒は好き?」と問われ、「好きだ」と答えると明るい笑顔を向けてくれました。

マリアをはじめ、この夜その場にいたスタッフは全員底抜けに明るく、わからないことについて慶士さんが質問をすると、いつもにこやかに対応してくれたそう。

この明るさ、穏やかさは、たとえ店内がどれだけ忙しくなっても変わらなかったといいます。

店は広くて満席、スタッフは外国人しかいない、日本人の客は僕にばっか話しかけてくる、メニューがスペイン語だらけでよくわからない、サプライズが多すぎる、もう色々なことが相まってとにかく忙しかった。
だが、どんだけ忙しくてもマリア含め他のスタッフは、嫌な顔ひとつせずなんでも教えてくれた。それどころか、スタッフたちは皆ずっと楽しそうだった。

「異国の集団に5時間混ざり、性格が開花した27の夜」より

予想外の環境に対し、はじめこそ不安のあった慶士さんも、次第に場の雰囲気に慣れ、仕事に没頭するようになりました。

外国人スタッフの明るさに、人としての“理想の在り方”を教えられた

めちゃくちゃ忙しくて走り回ってる最中に、急にマリアからこしょこしょされたりした。ホールのど真ん中で丸めたティッシュを空中に投げ、キャッチしながらお皿を片付けるスタッフもいた。女性スタッフ同士で軽い口論になり、最終的に片方がほっぺにキスをしていた、された方は笑いながら嫌がっていた。洗い場の人はいつ見てもずっと歌っていた。みんながみんな明るすぎた。

「異国の集団に5時間混ざり、性格が開花した27の夜」より

タスクが増えると余裕がなくなり、イライラするのが人間です。しかし、どれだけお客さまが増え、注文の多さにひっくり返りそうになっても、つねに機嫌を保ち、一瞬一瞬を楽しみながら働く外国人スタッフたちの姿に、慶士さんは大きな衝撃を受けます。

彼らの様子を見ながら、慶士さんは人としての“理想のあり方”を教えられたと言います。

どんだけ明るい人でも、普通は余裕がなくなって険しい表情の一つや二つしてしまいそうなのに、なんて楽しそうなんだ。そして、そんな楽しそうなみんなが可愛く見えて仕方がなかった。ぜったい人間ってこうあるべきやん、そう思えた。

「異国の集団に5時間混ざり、性格が開花した27の夜」より

緊張と不安で逃げ出したかったはずのバイトが終わるころ、慶士さんの胸には爽快感が満ちあふれ、「楽しかった」という思いだけが残ります。とても良い夜だった、と。

環境を変えれば世界が変わる。27歳で気付いた、新しい自分を開花させる方法

メキシコ料理店での出来事をきっかけに、慶士さんの心の中で大きな変化が起こりました。

前の僕なら絶対に話しかけないシチュエーションで話しかけたり、絶対に言わないような言葉を言ったり、絶対に行かないような場所に行ったりと、無意識のうちに性格が明るくなったのだ。

そんなに仲良くない人に自分から世間話をふっかけ他愛もない会話をできるようになるなんて、しかもそれを楽しいと思えるようになるなんて、こんな聖人みたいなこと僕には一生無理だと思っていた。

だが、今はそれができる。バイト先で全く喋らなかった僕が、皆に話しかけている。

この姿を誰が想像しただろうか。

「異国の集団に5時間混ざり、性格が開花した27の夜」より

なぜ慶士さんは、他人とのコミュニケーションを楽しめるようになったのでしょう。理由は「自分が明るくなることでまわりも明るくなり、必然的に楽しくなる」ことを、あの日に学んだから。

環境を変えるのはほかでもない自分自身。そう気付いた慶士さんはこう語ります。

今からでも明るくなりたいという人がいればぜひ応援してあげたい。明るくなろうと思って明るくできるほど簡単じゃないことはわかっている。何か明るくなれるキッカケが必要なんだと思う。そんなとき、そんな人におすすめしたいことがある。

「異国の集団に5時間だけ混ざる」

たったこれだけ。たったこれだけで世界が変わるはず。

「異国の集団に5時間混ざり、性格が開花した27の夜」より

これまでの自分の価値観や慣れ親しんだ文化とはまったく違う環境に身を置くことで、自分自身さえ知らなかった新しい自分が開花する。

自分の心を開いて、目の前の環境を楽しもうとすれば、充実した人生のヒントが手に入るかもしれません。

<ご紹介した記事>
「異国の集団に5時間混ざり、性格が開花した27の夜」

【プロフィール】
慶士@geiningeinin
“書ける”芸人。東京吉本26期在籍。毎週日曜、日々の想いをつづったnoteを更新中!ときどき音楽活動も。

(文・ながたせいこ)

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ライター/編集者永田盛香
1984年滋賀県出身。元新聞社系出版社勤務。ライター、インタビュアー、編集者として活動のかたわら、子ども向けの表現教室運営も行う。「気持ちの言語化を通し、自己理解を深めるお手伝いをする」をテーマに、人の話を聴きながら想いのコアな部分に光をあてたい。年の差姉妹(8歳)の育児に奮闘中。

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