「何の役にも立たない」下積み時代ROLANDが、あだ名”焼きそばパン”から歌舞伎町の帝王になれた理由

2026年2月10日

スタジオパーソルが運営するYouTubeでは、さまざまなはたらく人の履歴書から「私らしいはたらき方」について深掘りインタビューを行っています。

今回密着したのは、実業家・ローランドさんです。「俺か、俺以外か」など数々の名言が話題となり、“ホスト界の帝王”としてブレイク。彼は現在、ホストクラブや脱毛サロン、飲食店など複数の事業を展開しています。

ローランドさんのキャリアは一見華やかに見えますが、その道のりには数々の挫折や転機がありました。その逆境をどのように乗り越えてきたのか、ローランドさんが語る力強い言葉の中には、私たちが自分らしくはたらくためのヒントが詰まっています。

※本記事はYouTube『スタジオパーソル』の動画一部を抜粋・編集してお届けします

「神童」と呼ばれた少年が入学式で中退を決めた理由

小学生のころのローランドさんはサッカー少年でした。「プロのサッカー選手になるのが夢。逆に言うと、それ以外はあまり興味がなかった」と当時を振り返ります。

その実力は「神童」と呼ばれるほどで、地元では敵なしの存在だったと言います。しかし、中学校に入学してJリーグクラブの育成組織に入ると、状況は一変しました。全国から集まった才能ある選手たちとプレーする中で、「自分よりうまいやつがいる」と気付きます。

その後、サッカーの名門として知られる帝京高校でプレーを続けるも、周囲のレベルに付いていけず三軍へ降格。事実上、プロへの道は閉ざされていきます。

「今までやってきたことって意味がなかったのかな、と。本当に複雑な気持ちでした」

プロサッカー選手という夢を抱き、ひたすらボールを追いかけてきた日々。その夢をあきらめたローランドさんは、流されるように帝京大学へ進学します。周囲も「大学進学は当然」という雰囲気で、進学以外の選択肢など思いもつかなかったと言います。

そうして迎えた入学式当日。ローランドさんは、急に焦燥感に駆られ始めました。

「この先には、興味のない授業を受け、やりたいわけでもない仕事をして、固定給をもらいながら定年まではたらく人生が待っている。そんな光景が浮かんできて急に怖くなったんです。よく“先が見えないと怖い”って言うじゃないですか。でも俺は、“先が見えるほうが怖い”と思ってしまって」

居ても立っても居られず、ローランドさんは入学式当日のうちに大学を中退したのです。

一発逆転を目指しホストの世界に。「焼きそばパン」と呼ばれた日々

中退を決断した後は特にやることもなく、毎日ジムに通っては公園でボーッとすごす日々が続きました。そして1〜2週間ほど経った4月のある日、桜が散り始めた公園で、ローランドさんは決意します。

「散っていく桜を見て、ふと思ったんです。俺、ダラダラと長く咲くより、一瞬でもいいからかっこよく咲いてパッと散りてぇなって」

頭に浮かんだのは、プロとして活躍する高校時代のサッカー仲間たちの姿。

「テレビをつけると同い年の高卒の選手がキャーキャー言われている。あいつらよりキャーキャー言われる方法って何かあるか?そう考えたとき、テレビ番組で見たホストの特集を思い出して。学歴も資格も必要ない、一発逆転の仕事だと思いました」

親に「伝説のホストになる」と告げると、当然のように猛反対されます。それでもローランドさんは、「別に両親の人生じゃない。俺の人生だ」と、翌日には歌舞伎町へ向かったのです。

一発逆転を賭けて飛び込んだホストの世界。しかし、初日から現実に打ちのめされることになります。

帝京大学出身のお客さまを見つけ、「俺も帝京高校でした!」と親しみを込めて話しかけたものの、「ああ、そうなんだ。それで?」と素っ気なくあしらわれます。

女性との会話が苦手で、未成年だからお酒も飲めない。売り上げに貢献できないローランドさんは、お店を盛り上げるために先輩から焼きそばパンの早食いを命じられ、「焼きそばパン」というあだ名で呼ばれるようになりました。

状況は好転せず、1~2年ほど鳴かず飛ばずの日々。家賃6万円、エアコンのないアパート暮らし。給料は低く、家賃と携帯代を払うと手元には何も残らない生活が続きました。

「やばい。大丈夫か、俺……」

すべてを捨てて「伝説のホスト」になると宣言してきたのに、現実はあまりに惨めでした。

まったく売れない日々を乗り越えた「言葉の力」

売れない日々の中で、ローランドさんは自分なりの戦い方を模索していました。

当時のホスト業界は、お客さまとどれだけ親密な関係を築けるか、デートに行けるかという「関係性の深さ」で勝負する世界。女性との会話が得意ではないローランドさんにとって、その戦い方では勝ち目がありません。そこで見出したのが、言葉をロジカルに構築する力です。

「もともとモテた経験がないから、感覚で喋れないんですよ。だから俺は、女性に喜んでもらえる会話をロジカルに構築するしかなかった。でも、恋愛的な関係性で勝負する売れっ子ホストと同じ土俵で戦っていたらきっと埋もれてしまう。それならホストの接客スタイルとして新しいカテゴリーをつくってしまえばいい。競合のいないブルーオーシャンなら戦えると考えたんです」

こうして生まれたのが、ロマンチックな言い回しや哲学的な表現を武器にする「名言」接客スタイルです。「口先だけでホストやりやがって」と批判されることもありましたが、ローランドさんには確信がありました。

「ホストの本質は、身体的な接触ではなく、言葉で心を動かす力です。今は理解されなくても、いずれ自分のスタイルが評価される時代が来る。俺が時代に合わせるんじゃなくて、時代が俺について来い、というスタンスを貫きました」

その独自のスタイルを確立するために目をつけたのが、YouTubeでした。YouTubeがまだプロモーション手段として主流ではなかった2017年、いち早く動画でのブランディングを開始。「お酒を飲まないホスト」「至高のプロ意識の持ち主」というエレガントなキャラクターを確立しました。

その戦略は見事に成功します。2018年ごろからはテレビ出演も増え、名言が話題となり、一気にブレイク。さらにローランドさんの挑戦はそこでは終わらず、2019年、26歳で独立を決意しました。

「自分が感じていた、業界の疑問や矛盾を解消した“正しいホストクラブ”をつくりたい。プレイヤーから“業界を変える側”にまわろうと思ったんです」

自身がオーナーを務めるホストクラブ『THE CLUB』を立ち上げた後も躍進は続き、現在では、美容事業や飲食店などを経営する実業家となりました。

そんなローランドさんが今大切にするのは、「常に過去最高」であり続けること。
「『人生で1番かっこいい瞬間はいつ?』と聞かれたら、常に『今』と答えたい。そんな自分でいられるなら、素敵なはたらき方ができている証拠ですね」

適当に生きるな。今、全力でやれ

さまざまな挫折を経て、実業家として活躍するローランドさんですが、今でも「コンプレックスはたくさんある」と言います。しかし、ローランドさんのコンプレックスの捉え方はとても前向きなものでした。

「コンプレックスを抱くことは、その人が高い目標を持っている証拠だと思っていて。現状に満足していたら、コンプレックスなんて抱きません。だから、伸びていく人って、多分どれだけ成功してもずっとコンプレックスを持ち続けられる人なんですよ。満足したら終わりだから」

そして、そのコンプレックスをエネルギーに変えることができたのは、数々の挫折があったからだとローランドさんは語ります。

「あこがれよりも、悔しさや反骨心のほうが人を動かす力は強い。もし俺がNo.1ホストへのあこがれだけでホスト業界に飛び込んでいたら、多分初日で辞めていました。でも俺には『一発逆転したい』という反骨心があった。『あこがれ』という燃料より『悔しさ』という燃料のほうが遠くに行ける。圧倒的な挫折が、俺に燃料を与えてくれました」

最後に、今の仕事に迷いを感じている人、転職を考えている人など、モヤモヤを抱える若者が楽しく自分らしくはたらくためのメッセージを伺いました。

「やり残したことがあると成仏できないって言うじゃないですか。仕事も同じで。適当に向き合って辞めたら、『もうちょっとやれたかも』という呪縛のようなものをずっと抱えながら次の目標を探すことになるんです。でも全力で取り組んだのなら、潔く次に行ける。結果なんて二の次でいいんです。モヤモヤを成仏させるために、今、全力でやれ。これが俺からのメッセージです」

(「スタジオパーソル」編集部/文:間宮まさかず 編集:いしかわゆき、おのまり)

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ライター/作家間宮まさかず
1986年生まれ、2児の父、京都在住のライター・作家。同志社大学文学部卒。家族時間を大切にするため、脱サラしてフリーランスになる。最近の趣味は朝抹茶、娘とXGの推し活、息子と銭湯めぐり。
著書/しあわせな家族時間のための「親子の書く習慣」(Kindle新着24部門1位)

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