「背景におじさんがいると見られがち。だから……」小嶋陽菜さん&佐久間宣行さんの“はたらく”トーク

2023年6月19日

スタジオパーソルは、はたらく人の“モヤモヤ”が解決するヒントを届けしたいという想いから、4月10日に「グッバイもやもや!佐久間宣行と“はたらく”トーク」の第4回配信を行いました。

テレビプロデューサーの佐久間宣行さんと“はたらく”を語りまくる本イベント。今回は特別ゲストとして、小嶋陽菜さんをお迎えしました。

小嶋さんは、AKB48の第1期メンバーとして活躍。卒業後にアパレルブランド「Her lip to(ハーリップトゥ)」を立ち上げ、2020年には株式会社heart relationを創業しています。国民的アイドルグループを経て経営者となるまでの道のりを伺いながら、その中で見えてきた人生観・仕事観について、佐久間さんとトークを繰り広げました。

※一部を抜粋・編集してお届けします。

2006年にAKB48の初期メンバーとしてメジャーデビューし、2017年にグループを卒業するまで11年間もアイドル活動を続けた小嶋さん。卒業した翌年の2018年にアパレルブランド「Her lip to(ハーリップトゥ)」を立ち上げ、2020年に法人化し、昨年には表参道に常設店を出店しました。SNS総フォロワーは975万人と、絶大な影響力を誇ります。

鮮やかなキャリアチェンジを遂げていますが、AKB48にいたころはこうした未来をまったく想像していなかったと言います。

「アイドルはもともと好きだったので、なんかおもしろそうなことをやっているなって興味と、秋元康さんという絶対的なプロデューサーがいることへの安心感でAKB48のオーディションを受けました。AKB48の認知度がないゼロからのスタートで、大変でしたね」

AKB48が下積み時代を経て国民的アイドルグループになってからも、卒業についてはあまり考えていなかったそうです。

「私はアイドル好きで、女優や歌手を目指していたわけではなかったので、自分がアイドルとしてできるギリギリのところまでやりたくて。だから同期が全員卒業し終わったくらいの、30歳になる手前で辞めたんですよ。全然先のことは考えてなくて、やりたいことも決めていなかったんですが、すべてをリセットして新しいことを始めたいと思って卒業しました」

20代最後の1年間は、10代から人気アイドルの過酷なスケジュールを送ってきた小嶋さんにとって初めての休暇。海外旅行やフェスに行ったり、友達と交流したりして自由に過ごしたところ、卒業後も芸能界で活動する元AKB48メンバーと比較して「セレブ気取り」と揶揄されることもあったそうです。

ところが、その休暇がアパレルブランドの立ち上げにつながりました。

「卒業したあともファンの方とコミュニケーションがとりたいという気持ちはあったので、自分の好きなものやライフスタイルを発信できるクローズドなコミュニティを作りたいと考えていました。
インスタに投稿した内容の中で、旅行の時に着たワンピースにすごくインサイトが集まっていたので、『コミュニティの中で私が着たいと思うお洋服を作ってその世界観に共感してくれる方にシェアできたら』と思い、お洋服を作ることになりました。セレブ気取りと言われた休暇も無駄じゃありませんでした」

まずは枚数も型数も絞り、所属する芸能事務所のスタッフ数名と一緒に小さいチームでスモールスタートし、その後は同世代の女の子と2人で起業したと言う小嶋陽菜さん。佐久間さんは、その現実的な行動に「アイドル時代のイメージからは想像できない」と驚きます。
その理由について、小嶋さんは「卒業した後に言われることは大体分かっていた」と答えました。

「自分のパブリックイメージは分かっていたんですよ。バックに誰かいるんじゃないかとか、絶対おじさんがやってるとかって言われるだろうと思って。私、背景におじさんがいるように見られがちなんですよね(笑)。だから、(そう邪推されないように)あえて同世代の経営未経験の女の子と2人で始めました。」

この自分をとことん客観視した意見に、佐久間さんはさらに驚きを示します。バラエティ番組における小嶋さんは「思ったことを言ってしまう主観の人」というキャラクターで、それがおもしろさになっていると感じていたためです。

それを指摘された小嶋さんは当時を振り返り、こう語りました。

「人数が多いAKB48の中で前に出るために客観視をずっとしていたので、もう癖です。私はセンターやTOP3でなく、8~10番目というポジションだったから、前の人と被らないことを言わなきゃいけない、違うことをやらなきゃいけない。自分を客観視して『頑張ります』『ありがとうございます』以外の言葉を探していました」

佐久間さんは、小嶋さんが自分のキャラクターや才能、素質を見直してきたことを知り、「それは神セブン入るわ」と頷きます。事実、小嶋さんはバラエティ番組で周囲と角度が違うことを言っていたそうです。

そんな小嶋さんの能力を評価する人の1人が、秋元康さんです。秋元さんはグループメンバーを一人ひとりよく見ていて、各メンバーに合った言葉をくれたそうです。小嶋さんが受け取ったのは「自分に飽きないように生きなさい」という言葉でした。

「同じルーティーンの仕事、お決まりの仕事ってあるじゃないですか。『それに飽きちゃったら終わりだから、飽きないように自分で工夫して生きなさい』って言われて、すごく印象に残っています。経営者になった今でも、飽きないようにおもしろくアップデートしていこうって常に考えています」

後半は、過去の配信でも好評を呼んだ“はたらく”に関する質問・相談コーナーへ。

「無駄な会議をなくすために自分たちができること、もしくは無駄な会議に当たってしまった場合の対処法があれば教えてください」という質問に、佐久間さんは

「会議が無駄になるのは、その場所にいるトップの人が何を意思決定するか決めていないから。自分が意思決定する人じゃないなら、意思決定しやすい準備をできるだけ早く整えるのが現実的」

とアドバイスを送ったのに対して、小嶋さんは

「無駄だなって思うと無駄になっちゃうので、無駄と思わないのが大事かも。ブランドを運営していると、余白や余裕みたいなものが大事だなって感じるので、後々何かにつながったり何かしら話のネタになるかもしれないと思って聞いています。自分の受け取り方次第ですね」

と別の角度からの意見を話しました。

続いて、会社を辞めてフリーランスになったばかりの方から「会社員時代に割とオラオラでやっていたため、どうやら後輩たちからは、それなりに嫌われていたということを最近知りました。(中略)今後は彼らからお仕事をもらうことになります。もう、詰んでますでしょうか? 何かアドバイスを頂けたら幸いです」という相談に対して、佐久間さんは

「一番生意気だった後輩に、自分の何が嫌がられていたか聞いて、改められるところから改めた方がいいと思う。あと、1回はマジでちゃんと謝罪するのが結構大事だったりする」

と返しつつ、佐久間さん自身もフリーランスになるタイミングで「俺のいいところと悪いところを教えてよ」と聞いて対処法を考えたと語り、「自分で気づいた時点で修正できるから、まだ詰んでない」といった見解も述べました。

このほかにも、
・パワハラ扱いされないためのコミュニケーション
・何のためにはたらいているか分からなくなった時の心がけ
に関する質問・相談や、「職場のルール・風習」の投稿について紹介しました。

また、今回お答えしきれなかった質問・相談の中から4つをピックアップし、佐久間さんにお答えいただきました。
その内容は、後日、連載企画「もやもや お仕事ポスト」にてご紹介します。

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